話の筋立てとしては、
- 「工作機械受注額」をグラフにするのではなく、その前年比をグラフにする
- 受注額が改善していなくても比較対象の前年売上が下落傾向にあれば、前年比は改善しているように見える
と言うことです。記事から抜粋します。
工作機械受注額が(直近の実績値である)1000億円弱で不変と仮定してグラフを延伸すると、前年比減少率は急激に縮小し、半年後には1桁に落ち着きます。これは現在の比較対象が1500億円超のペースだった18年秋頃であるのに対して、先行きは比較対象となる前年実績が18年10~12月期の1350億円強、19年1~3月期の1200億円強と急激に低下していくためです。このまま設備投資意欲が回復せず、実績値が横ばい圏で推移したとしても、「前年の裏」に助けられる形で前年比伸び率は改善します。
侮れない指標「工作機械受注」が示す景況感改善の予感(THE PAGE) – Yahoo!ニュース
一般論で言えば、実際に受注額が改善しているわけでもないのにその実態に反したグラフを提示することは正しいとは言えないわけですが、しかしこのグラフがただ単に業績の停滞を覆い隠すだけのものかというとそうでもないと。
こうした前年比伸び率の縮小は見せかけの改善にすぎません。ただし、上述のとおり錯覚的だったとしても、人々の景況感が改善する可能性は十分にあります。工作機械受注に限らず、向こう半年程度は幾つかの製造業のデータが強めに出る可能性があるため、株式市場では製造業セクターを中心に業績底打ち感が意識されやすい時間帯になる可能性があります。
侮れない指標「工作機械受注」が示す景況感改善の予感(THE PAGE) – Yahoo!ニュース
「景況感」というのは不思議なもんで、それが例え気のせいだったとしても「良くなるかも知れない」「良くなりそう」というだけで設備投資を増えて実際に景気がよくなっちゃったりするんですよね。なんなんでしょうね。経済学的にはなんか理論とかあるんでしょうけど、そういう集団心理みたいなの不思議ですね。そういう心理を「前年比伸び率」というグラフが表現してるってのがとっても興味深かったのでした。そういう見せ方もあるんだなあ。