残業がなくて済むなら、そりゃない方がいい

残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長 (1/3) – ITmedia ビジネスオンライン

当たり前でしょ。「松本さん、あなたカルビーの会長だけど残業代払うよ。1時間10万円」。やるに決まってますよ。

 もらっている給与に対して、残業手当は高いです。あんな悪しき制度を作っているから社員は使うんです。いま残業を月に数十時間している人がいたとして、明日から残業手当を1時間30円にすれば、きっと誰もやらないですよ。



カルビー松本会長のこのインタビューがなかなか興味深かったです。

タイトルとこの出だしだけ読むと、残業代を払いたくないということかと勘違いしてしまうけど、中身を見て行くとつまりはこういうことらしい。

  • 時間でなく成果で働いている人に「残業」という制度がそもそもおかしい
  • 成果さえ出せば良いのだから、勤務時間を決める必要がない
  • オフィスに出社する必要すらない
  • 残業代という制度をなくして、その分を給与に織り込んであげるべき

この「成果で評価する」ってのはなかなか難しくて、その評価方法をシステムにする必要はあると思うけど、いずれにしても言っていることはよくわかります。多くのサラリーマンは時間給をもらっているわけではないわけだから、残業手当を当てにしなくてもいい給与を払うべき、と。

少し前に読んだ、郵便局の正社員化の話でこんな下りがありました。


「僕は正社員になってよかったのか」日本郵政ショック、住居手当削減で削ったのは父への仕送り | BUSINESS INSIDER JAPAN

月給は約45時間の残業をして手取り約23万円、年収では手取り約300万円。Aさんが働く局は残業が多いそうだが、残業が少ない局の一般職の知人の中には、手取りが月20万円を下回る人もいると聞いている。この状況で最終的に住居手当の年間約30万円が減るのはかなりの痛手だという。



残業することが労働者側の意識として給与の一部として盛り込まれている、というより残業して初めて、きちんとした給与になるという認識。残業しないと生活が苦しくなる。そうなったら当然チャンスある限り残業するよね。そりゃそうだ。

んで、


残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長 (1/3) – ITmedia ビジネスオンライン

人間は皆そう。得したら喜ぶし、損したら怒りますよね。だから皆が得になることをしてあげればいいのです。何が最も大事だと思いますか? 給料ですよ。給料をたくさん払うためにはどうしたらいいか。実に簡単で、たくさん稼ぐことと、ろくでもないことにカネを使わないことです。ところが、会社が給料をケチるから、社員は経費を使って仇をとろうとするのです。

 日本の働き方改革の本丸は残業手当です。何度も言いますが、残業手当がある限り、社員が欲しがるのは当たり前。だからダラダラと働く。ダラダラしないと残業できませんから。5時間で終わることを10時間、12時間とかけてやる。そのほうが給料が高いからです。日本の生産性が低いのは、そうした制度があるからですよ。



ということになる。まあ当たり前なんですよね……残業代がないと困るという主張、それそもそもの給与が少ないんじゃないですか?というのはそうなんだよね。その給与を補うために労働時間を伸ばすというのは、それは「残業に対する手当」という考え方から外れている。先の郵便局員の話で言えば、残業代込みで手取り23万払って会社としてペイ出来ているのであれば、最初から23万を保証してあげてその代わり残業しないように頑張れ、と。

もちろん「残業をしないと片付かない」というのはまた違った話になってきます。そこに払う残業代は必要だし、払うべきだけど、でもそれもそもそもとしては、人をもう1人雇う人件費を会社がケチっているという意味では同じこと。残業代が支払われないブラックならともかく、普通に算定して残業代を払っている会社なら、残業代を払い続ける必要は実はないのかも。固定費を上げたくないくらいの意味かな。



ちなみに僕は今、フリーターとして時給で働いているので、長く働けば働くほど給与が上がるという状態にいます。少し前までは、一つの仕事を引っ張って収入を増やそうと思ってました。特に居酒屋の仕事は定時というものがなく、店が忙しかったら8時間以上になることもあるし、ヒマだったら5時間半にしかならないこともある、月に直すと最大5万くらいの差が出てしまうので、出来る限り長く働きたい、日数も入りたいと。前述の郵便局員と同じですね。

でも今はちょっと変わってきました。

昼のエンジニアの仕事の時間がものすごく限られていて(ルーチンを除いた実働で4時間半くらい)、効率的に仕事をしないと終わらないというか何も成果を出せないんですよね。もしその仕事を引っ張ったら後の仕事に響いてしまうし。最初はその状況が少し窮屈に感じたのですが(コーディングならずっとしてたいじゃないですか。業務となると他にやることたくさんあるけど)、終わりを決めて段取り組んで仕事をこなすと、案外ちゃんと仕事は終わるし、切りも良いところで付けられるし、体力的・精神的に余裕が出来ることで次の仕事を入れやすいし、長い目で見るとこっちの方が稼げる。


仕事のバランスや働き方は今も模索中ですが、あるべき仕事をあるべき時間内に終えてかつ困窮しないという働き方は、あると思うんですよね。収入がもっと欲しい人は、ダブルワークすればいいと思うし(副業が認められるようになるみたいだし)。僕みたいなんだと体壊すけど、例えば週1日、2日パートタイムで働いて、月3~4万とかならサラリーマンでも出来ますよ。環境を変えるのは刺激にも勉強にもなるし、残業代で稼ごうとするよりはよっぽど健康的だと思うなあ。時期によって変動が大きくて他の仕事入れづらいとかね。いろいろ事情はあるとは思いますけども。


同じお金をもらうなら、生産的な活動の対価として、貰いたいもんです。
そういう意識が、生産性の高い国を作るんじゃないかなあ。