3冊目はもったいなくてずっと“積ん読”にしておいて、沖縄に向かう機上で読んだこれ。
チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) 伊坂 幸太郎 講談社 2007-05-15 by G-Tools |
読む前のタイトルと文庫版表紙からの勝手な想像では
これはあれかな、珍しく家族愛的な、なんかハートフルな小説かな…
わけねぇw
全体の印象としては、
Amazonレビューのdemekichiさんの言葉が印象的なので、引用させていただく。
うざい!
By demekichi
と、思った。
陣内の存在が。
若気の至りとはいえ、周囲の見えないやつめ!
空気を読め!
と。
しかし、2本目の作品に出てくる陣内は、
同一人物でありながら、印象が違う。
いや、中身が変わっているわけではなく、
むしろ何にも変わってなかったんだろうな?と思う。
1本目の作品では、陣内よりも鴨居や永瀬の存在を際立たせておいて、
実は全編の軸になっているのは陣内!という手法に
やられた!!!!!と思った。
そして最後は何故か陣内を人間的に好きになっていて、
またしてもやられた!!!!という感じがする。
そうなんだよ…お前何なんだよ!っていう、
ココロに入り込んだ異物、それが本を開いた最初のころの陣内なんだけど、
それが次第に愛すべきキャラになって行くんだなぁ…
印象的なのは、永瀬に対する陣内の「ずるいぞ!」って言う発言。
生まれつき目が見えない永瀬が通りすがりのおばさんにお金を寄付されているのを見て、
ごく普通に、何でお前だけなんだよ!と怒るシーン。
いやいやいやいや、お前と永瀬は違うだろ、と思うんだけど、
でもここまで壁を作らずに接することなんか出来るかと思うと、
間違ってるのは僕の方なんじゃないかと思ってしまう。
困っていたら相手が障害者であろうと無かろうと助けるし、
困っていないなら余計な気は回さずにナチュラルに接する…
書くのは簡単だけど出来ないな…僕には。
本の構成は、その陣内を中心に据えて、
いろいろな人間の視点から彼を描写する形を取っていて、
連作、シリーズものではありつつも、
どこか「箱庭」「スターシステム」的な、同じ登場人物で違うストーリーを書いている印象。
だから飽きないし、でも混乱もしない。
伊坂幸太郎は凄いなぁ。
良作です。