【読書】 ジャン=フィリップ・トゥーサン / アイスリンク

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Jean=Philippe Toussaint 野崎 歓
集英社 1999-10
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大好きなジャン=フィリップ・トゥーサンの作品…だけどこれはちょっと異端。
なぜって、先にまず自身が監督した同名の映画があり、
その後で自身でノベライズした作品だから。
一冊の本の体裁は取っているものの、ものすごい軽い感じでむしろ短編に近い。

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ブルース・キャンベル
エムスリイエンタテインメント 2001-04-25
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話の舞台は、映画撮影の現場。
映画撮影の現場を映画にするってのは昔、
ゴダールの『パッション』ってやつを見た記憶があるけど(映画はあんまり詳しくないです)、
ちょうどそんな感じ。

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ジャン=リュック・ゴダール
東北新社 2003-01-30
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時間も資金も余裕はなくて、制作側は焦ってるんだけど、
俳優はあんまりやる気がなくて周囲も空回りしてて、なぜだかアクシデントも次々起きて、
一向に撮影は進まない…というドタバタ劇。

基本的にコメディではあるんだけれども、陽気な笑いと言うよりも、
シュールとニヒリスティックの詰まった笑い。
体裁をコメディにしたって、トゥーサンはトゥーサンだなぁ…という印象。


元々映像作品と言うこともあってか、小説として読むと若干ボリュームが足りないか。

でも多分、ト書き然とした書き方や、
敢えて行間を文字で埋めることをしない体裁も、
きっとそういう表現方法だと言うことなんだろうと思う。
場面に対する文章量という意味ではボリュームの不足を感じることはなくて、
むしろ場面を想像させるのには十分。

やっぱり好きだなぁ。