『メディア』の再定義。

CNNニュース責任者、「ブログ」の追及受け辞任
【ニューヨーク=大塚隆一】米CNNテレビのニュース部門の最高責任者イーソン・ジョーダン氏(44)が11日、突然辞任した。

 イラク駐留の米軍をめぐる発言がきっかけだが、追いつめたのはインターネットのホームページの一種「ブログ」だった。

 米国ではCBSテレビが昨年9月伝えたブッシュ大統領の軍歴疑惑報道がやはりブログの追及から「裏付けなし」と判明し、幹部4人の首が飛んだ。今回も大手メディアはブログに出し抜かれたうえ、幹部の辞任を強いられた。

アメリカでまた、blogの起こした活動が、大きな影響を与えたらしい。
一般メディアのblogへの反応というのは、
字面や一般論だけで、実感を伴っていないことが多いので、
(特に日本国内においては)話半分以下、というところだが、
人気blogのアクセスが、地方紙レベルであることは間違いない。
京都新聞の発行部数:506,155部 – 2004.10

まぁそれにしても、メディアの反応は少々過剰な気がする。
むしろ、紙面ではいくら、『新しいメディア』などと言っていても、
blogや、SNSなどを、メディアと見なしていないから、こういう反応になるんだろう。
読売新聞が、毎日新聞の影響を驚きを持って受け止める、なんてことは起きない。
『既成のメディア』と呼ばれるもの…新聞や、ラジオ、テレビ、雑誌。
それらの間で、それぞれの影響力に注目するなんて事は起きない。
そもそも、システムそのものが違っている、
無理矢理、既成のシステムになぞらえて示せば、とにかく、記者の数が違う。

blogだけじゃない。
たとえば、Flickr
画像ストレージであり、フォトアルバムであり、SNSであるというサービスだが、
先日のスマトラ島沖の地震の際、ニュース映像よりずっと早く、ここには画像が配信されていたようだ。
当然、現地に住む人々からの情報。
新聞社であれば、現地の派遣記者に連絡を取るところからしてもう困難なはずだ。
要するに、発想がそもそも違うんである。
(そしてこのサービスはそのまま自分のblogへ投稿させることも可能だ)

これらの『メディア』は根本的には、2ちゃんねると同じような働きを持つ。
2ちゃんは、匿名性、インターフェイス、情報の多様性、クローズアップされる独特のマナー…など、
余り世俗に受け入れられるものではないため、
日本国内であっても、(メディアとしては)ほとんど無視されている存在だ。
でもあれだって、利用価値を知っている人から見れば、立派なメディアだし、
全てを鵜呑みには出来ないけどそれはblogも(本当は新聞もテレビも)同じ事。
言ってみれば、メディアのグローバル化、と言ったことろか…

僕自身は、情報伝達スピードの高速化、に対して、
肯定的でも否定的でもない、ただ、いつまでもblogだなんだと言っていてはだめだろう、と。
例えば最初に上げた記事で驚くべきところは、
blogの追求で、ではなく、辞任したということ、
そろそろ、手段ではなく、内容であってもいいんではないか、と。

多分、マスコミには今でも、
『読者に情報を届けている自負』と、『読者の情報をコントロールしている思い』とがあるんだと思う。
だが、あいにくと速報性ではもう、圧倒的にかなわない。
どこかのニュースblogがネタを仕入れて、それをアップし、一瞬で世界中にRSSで配信されている、
それを受けて他のblogが調査し、トラックバックし、コメントを書き、
そんな『取材手法』を、世界中の人にやられては…敵いっこない。

新聞は、その存在価値を決める、ビジネスモデルを見直す段階に来ているのかもしれない。
(新聞のビジネスモデル、なんて当たり前すぎて誰も言わなかっただろうけど)
遅くても良いから、内容で勝負する、
もしくは、ネットディバイドの、向こう側にいる人々をターゲットにして発行する…

いずれにせよ、その相手はblogではなく、
今後出てくる他のメディア、かもしれないが、
WEBが存在し続ける限り、紙面としての新聞、番組としてのニュースは、
リアリティを失い続けるだろう。
新聞の、再定義が必要なようだ。