NFL:DALvsPIT の壮絶な試合を見て布団に潜り込む瞬間
在る一つの情景が頭に浮かんで離れなかった
灯りを消し目をつぶり必死で眠ろうとしたけれど
ダメだった
ずっと前に別れた女の子のことだ
別れた原因はよくわかっている
いつの間にか生活や考え方があまりに違ってしまっていた
極めて自己中心的に主張するのなら
譲歩しても譲歩しても譲歩せざるを得ないことに
僕が疲れてしまったせいだ
僕は心も体も満たされなかった
決して嫌いになったわけじゃない
ただ、それ以上恋人でいることは もう無理だった
愛されているのだろうと、想像できても
愛されているのだとわからなければ
恋人であると確認することに何の意味も見出せない
そんな彼女を作ったのはきっと僕だし
こんな風に僕が感じてしまったのは彼女のせいだ
そしてそれは話し合いを重ねても修正できなかった
恋愛相談なんかでは解決できない部分…
『好きだよ』と囁くだけでは満足できない、僕が悪かったのだろうか?
人を愛することは難しいが
愛しているふりをすることや、
言葉で好意を伝えることは 本当に簡単なことだ
僕が欲しかったのは言葉なんかではなくて時間だったし
そうしようとする気持ちだったのだろう
同じ主張が何度も繰り返されて 僕の気持ちは切れてしまった
理屈じゃなかった
今の恋人には悪いけれど
僕は今でもたまにこうして思い出してしまう
終わった恋の最後は いつも必ず ブルーに終わる
喧嘩のきっかけはいつも僕の短気だし
僕には怒りと脱力感が、相手には戸惑いと混乱しか残らない
別れて割り切ってしまえるような女の子とは
僕は始めから惹かれ合わないのかもしれない
その子とはもうほとんど連絡を取っていない
月に一回くらい、“生存確認”をするだけだ
最後に会ったのはいつのことだったろう…別れてから一度、
誘われてアジア料理を食べに行った
普段の友達との会食と同じように僕はしゃべり
用事があるから、と店の前で別れた
彼女はその時、やり直したかったのかもしれない
何か言いたそうに 何も言わずに僕を見ていた
僕はそれを遮るようにして別れの挨拶をした
悲しそうな表情ではなかったが
その、表情が忘れられない
外はまた、雨が降ってきた
僕は残り少ないタバコに火をつける
屋根を叩く雨音だけが響く 静かな午前3時
何も変わらずに 想いだけが通り過ぎていく。