イチローが、遂に偉業を成し遂げようとしている。
シスラーの持つ年間記録を塗り替えると、これは84年ぶりのことらしい。
George Sislerが年間257本の安打を記録したのは1920年。
Babe Ruthが年間59本のホームランを記録したのが1921年だから、それよりも前の記録だ。
Babe Ruthの記録が破られたのは1998年だから…そろそろ破られても良いかもしれない。
でも、だからといってそれが簡単なわけじゃない、
年間の安打記録上位は戦前の記録が占めていて、
ベースボールの性格そのものが打者有利だったのか、
なんなのか、とにかく違ったことが想像できるからだ。
まぁそういう調べれば分かることはおいておいて、米メディアの反応を。
日本では、イチローに対して、『不振だ』『スランプだ』とつつくメディアはいたが、
正面切って、『大したことねぇよ』と言った人は恐らくいなかったと思う。
いや、実際凄いんだから無理して言う必要もないが、
『イチローに慣れてしまっていること』を自覚しつつも、
それを必死で隠して、ことさらに賞賛しようとしていたような感じもある。
それに比べると、アメリカってのは凄い、と思う。
ワシントンポストのWEB版だったか…堂々と、
『イチローなんて普通じゃねぇか』、と言ってのけたコラムニストがいた。
日本のニュースソースで抜粋を読んで気になったので、英語版にもいってみたが、
『出塁率はそんなに良くない』『チームを勝利に導いてるわけじゃない』
『内野安打ばっかりだ』『シングルばっかりで長打が打てない』
というような、いやまさに重箱の隅という要素を挙げて、
『だからGOODだがSUPERじゃない』と言ってのけていた。
当然僕は承伏できなかったので、
『君の言ってることは正しいよ、でも止めれるもんなら止めてみろよ』
とコメントしてやったのだけど、
バカが付くほど単純に、ここまで、『お前のヒットなんか見飽きた』と言い放つ、
アメリカ人という人種と、それを容認するメディアに舌を巻いた。
確かにね…僕らだって、多分、『今日何本打った?』って思ってるもんな。
野球は3割のスポーツなんだから、3試合あって、1試合が4打数4安打なら、
普通は、残りの2試合はノーヒットなんだよね。
実際のプレイヤーでさえわからないことなのに、
『彼が、今、何をしているのか』
なんてことは僕らにはわかり得ない、84年振りとか、257本とか、そういうことで、
『凄い』を演出しないと、『あ、またやったの』で終わってしまいそうな、
逆に言えばそれほど分からないことを彼はやっている。
(ちなみに今シーズンの安打数第2位は今現在201本だから…イチローは突出している)
彼の凄さが理解できないところが悔しい。
でも、彼が凄いってことは、わかるよ。
無理に数字を挙げたりなんかしなくても。モニターのこっちにいても。
マリナーズは今年、良いところが全くなかったし(別にマリナーズファンじゃないけど)、
記録に手が届いたらいいなぁ…彼の前では、杞憂かな?(苦笑)
いやいや、体も心も疲れてきてるだろうし、大変だと思うけど。
全く偶然ですが、『ほぼ日』で連載中の『欽ちゃん!』の中で、
萩本さんがイチローの姿には言葉がある、と言っていて。
モニターのこちら側は、彼の『言葉』と会話できる、そんな選手なんだと。
そうだよねぇ…そう表現できなかったけど、そういうことを感じるよ。
『意志のある姿』してるもの。