COPY

以前少し触れたことがあるけど、雑誌の『コピー』が好き。
休憩時間に、タバコ吸いながらよく眺めてるんだけど、
コピーひとつとっても、その雑誌の性格がよく分かる。

たとえば、少し若めの女の子対象のファッション雑誌だとこんな感じ。
『夏セレブ ナットクの着まわし30日』

これが京都を紹介する雑誌(例えばCF)になるとこう。
『涼やかにやすらぐ床、癒される床』

“セレブ”“着まわし”“床”“癒される”、と、
確かにキーワードの印象度が違うのだけど、
コピーとして一番重要なのは、省略と、助詞の使い方、だと思う。

例えば前述のファッション雑誌の場合、
正しい日本語で伝えようとすれば、
→『誰もが納得する、30日間分の夏のセレブリティ風な着まわし術』
というようになるけど、
助詞を省略していくことで文章にリズムが出てくる。
加えて、頻繁に登場するのが倒置法、
『着まわし』という単語は既にかなり一般的になっているので
取り立てて強調すべき言葉ではない、代わりに、
テーマの主眼である、『夏セレブ』を前に持ってくる。
助詞の省略で、少し『間』を作って強調を増し、
その後はリズムよく説明文を付ける。
その際、『ナットクの』の助詞はあえて残して、リズム感を作る。

後者の例、京都の観光案内の方にしても、
落ち着いた印象を与えてはいるけど、使われている手法は同じで、
『涼やか』に、助詞を付けて一呼吸置いたあと、
メインテーマを持ってくる。

この傾向は、同じファッション雑誌でも差があり、
その雑誌のターゲット(表紙を見れば大体分かるが)によって、
例えばティーンズ向けだと、使われる単語も若く、もしくは、
上の年代層が普通に使っているような言葉をあえて採用し、
コピー自体は省略多めのリズム重視。
少し年代層が上がると、元気の良さよりも、明るさ、
ハッピーよりも幸せ、という雰囲気になってきて、
『愛される秋のフォーマル』
というような感じ。
省略した結果の名詞終わりではなく、
名詞を強調するための体言止め(微妙な表現だけど)が多くなったり、
助詞が増えてほんの少しゆったりしたペースに。


自分が買わないからこそこうやって冷静に分析できるんだろうけど
コンビニみたいに、雑多な雑誌が一堂に会してると
余計にコピーの性格の差が強調されて面白い。
(本屋だと、売り場ごとに分かれてるから)
コピーライターや編集者が毎月、頭捻って考えてるんだもんねぇ。
よくできてるなぁ、と思うよ、やっぱり。

コピーに関しては今後も気づいたことがあれば、また何か。書きます。