漫画。
父親の影響か、漫画好き。そうそう、父親の影響って結構大きくて、落語(古今亭志ん生;暗記したのもある(笑))とか、音楽とか(ビートルズ、中島みゆき、吉田拓郎…)、推理小説とか…。いしいひさいち、手塚治虫(漫画家)とか。こっそり会話の中で引用してるけど、誰も気付かない(笑)残念ながら、好きな漫画はほとんど実家にあるし、少年漫画はほとんどコミックで買わないから、今の部屋にはほとんどないんだけど…。その中で、何となく、いま、頭に浮かぶ漫画を2つ。
『B-VIRGIN』山田玲司
これは、女の子はどうでもいいけど、男は1回くらいは読んでおいた方がいいかも知れない。最初に読んだのは…多分、高校1年の頃。高校の授業は本当につまんなくて、みんなで漫画を回して、授業中に読んでた。それで、誰かが持ってきたのが、これ(後は、バタフライフィッシュとか、SIXTEENだっけ?とか)。その時は、あんまり感慨を受けなかったんだけど、どちらかといえば面白い漫画だったのだけど、歳をとるにつれて、なんとなく、理解ってきた。
わざわざ説明しなくても、読んでもらえばわかるんだけど、優しさというか…愛というか…そういうのが、すごくよく分かるんだよね。決して巧い絵じゃないし、ヤングサンデー連載だから全然メジャーじゃないんだけど、これはすごく、深い漫画。もしかしたら、女の子には分かってもらえないかも知れないような…(笑)
山田玲司は今も、ヤングサンデーで、『NG』連載中。その前のは『アガペイズ』かな?これは読んでた。今のはちょっとしんどくて読んでないんだけど。
この人のホントに凄いところは、ストーリーじゃなくて、男の視点で見た、女の子の気持ち、もっと言うなら、男が分かっておくべき女の子、みたいのをきちんと感じとってるところ。何か自分の種明かししてるみたいで、嫌なんだけど(少なからず影響受けてる気がする、意識はないけど)、でも、凄いです。漫画喫茶行ったり、どこかで接する機会があったら、是非読んでみてくださいな。絶対に。
『部屋においでよ』原秀則
超有名作品だけど…これ。この人の作品は、やったろうじゃんとか、冬物語とか、結構たくさんあるんだけど、とりあえず、これ(いま部屋に4巻までだけど、あるからなんだけど)。
これ読んでていつも思うのは、表情、かな。
例によって、一組の男女が出てくるんだけど、でも、いつもうまく行ってるわけじゃない。2人がそれぞれ、自分のしていることがうまくいってるとき、いってないときがあって、望むと望まざるとに関わらず、2人の心はすれ違っていく。好きなんだけど上手く愛せない、愛してるのに伝わらない。『好き』とか『嫌い』とかのシンプルな気持ち・感情じゃなくて、本当のところの感情…それをセリフで喋らせてしまうのはすごく簡単なんだけど、でも、それを、表情が、伝える。せつないほどに。
カメラマンの彼が、自分にとって本当に大事な物は彼女なんだと気がつき、彼女の写真を撮ることで、彼女自身ともやり直そうとする。しかし、ファインダーを覗いたとき、そこにあった彼女の表情には…。
これを読んでいたのは、馬術部の宿直室だったのだけど、正直、泣きそうだった。素直に眺めていってしまうと、ただそれだけの場面なのだけど、その女の子がどんなことを考えていたのか…『漫画』の表情から、まっすぐに伝わってくる。
1度でいいから、読んでみて欲しい。
男なんて、女の子には、絶対に敵わないと思う。
どんなに格好いい言葉を選んでも、
女の子の表情1つにすら、敵わないのだから。
特に綺麗な女の人の笑顔、より強いモノを、僕は知らない。
まさに
『君ってホントに…君ってまったく…』
(村上龍『すべての男は消耗品である』p41)
なのだ。
あ、『すべての男は消耗品である』これも、読むと面白いと思う。
少なくとも、肩の余計な力は、抜ける。
(2000.11.10.)