【今日のニュースから】バイトテロ訴訟問題

バイトが不適切動画をアップ くら寿司は法的措置も検討 – ライブドアニュース

回転寿司チェーンのくら寿司が6日、公式HPでアルバイト従業員が不適切動画を投稿したことを謝罪した。アルバイト従業員は魚を一度ゴミ箱に入れた後、再びまな板の上に乗せようとする姿を映していた。

(中略)

従業員に詳しい確認を行ったところ「撮影されていた食材は、その場で廃棄処分し提供されていない事を確認致しました」と、ゴミ箱に入れた魚は廃棄したと説明。「当社では、この度の事態を重く受け止め、当事者への対応含め、法的に厳粛な対応を進めて参ります」と、動画投稿のアルバイト従業員へ“法的”に対応する可能性も示唆。「改めて、従業員教育の徹底、再発防止に全力で取り組んで参ります」と約束した。


セブンも不適切動画に「法的措置検討」…くら寿司騒ぎの最中に愚行 おでん口から出す(デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース

セブン-イレブン・ジャパンは11日、横浜市の「セブン-イレブン横浜高島台店」の従業員2人が商品を使った不適切動画をSNS投稿した問題で、すでに解雇した2人に対し「法的措置を含む厳正な処分を検討してまいります」との方向性を明らかにした。



なんなんでしょうね……良く理解出来ないってのが正直なところです。

なんだろう、こういうモラルのない行為みたいなのって昔からあったとは思うんですよ。知人の話で、某製パン工場で深夜バイトして1袋に2つ入れたとかそんな話を聞いたことはあります。別に恨みがあったとか、給料が安くてイラついていたとかそういうことじゃなく、シンプルに悪ふざけ。歳を取るといたずら心というのは減っていくし、心に浮かんでも自制してなかなか実行まではしないものですけど、中高生や精神年齢の幼い大学生ぐらいだとまあやってしまうことはあります。全然良いことではないので、まったく擁護するつもりはありませんが。

よく解らないのはそれを動画で撮って公開するっていう行為の方で、自分でもやってることがいけないことだってのは解ってると思うんですよ。深夜のコンビニバイトだったら、深夜テンションで変なことやったぐらいで収めておけば良いのに、なんでそれを動画に撮って公開するのか。本人は面白いと思ってやってるのかも知れないけど、痛いだけで1ミリも面白くないんですよねえ。

……と思ったらこれ、Instagramストーリーだったんだ。なるほどなー。

Instagramストーリーと言えば「24時間で消える」「限られた友達にだけ公開」という機能なので、それで安心して投稿してしまったと。油断しすぎだろ。


訴えるべきか否か

訴訟をしても事態は良くならない、憎悪を呼ぶだけという言説も見掛けたんですが、

「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由 (1/6) – ITmedia ビジネスオンライン

報道対策アドバイザーとして、この手の不祥事が発生した企業のサポートを行うこともある立場で言わせていただくと、損害賠償をちらつかせるなど「厳罰」は、今回のようなトラブルの抑止・再発防止にはあまり効果がない。というよりも、事態をさらに悪化させてしまう恐れもあるのだ。理由は以下の3つである。

(1)有能な人材から敬遠され、「問題バイト」がさらに増える
(2)「厳罰」への反発・反抗心
(3)元バイト・従業員からのリークが激化



どうなんでしょうかね。

個人的には訴訟したら良いと思うんですよね。これはもう、教育と実社会の境目みたいな話になるんですけど、つまりミスを教育の機会と捉えるのか、実社会における損害と捉えるのかという話ですが、若者だからといって許されない線引きみたいなのはしておいた方が良いんじゃないかなと。いつぞやの渋谷の車横転とか、構造としては同じです。悪ふざけをどこまで許せるか。最近の日本社会はあまり寛容ではないけれど、食品に対しては特に寛容じゃないからなあ。「訴訟を提起する」という公表自体が、食品に対する悪ふざけに非寛容な日本社会への「謝罪」みたいな側面があるしね。仕方ないんじゃないですかね。


厳罰を科すべきか、科さぬべきか

難しいですよね。会社によるとしか言いようがないです。僕が知っている例を2つあげます。

  1. ごく一部の社員の遅刻が止まず、業務上支障を来すレベルであったため、全社員に対して「遅刻1回5,000円、同月内2回目は10,000円、3回目は15,000円」(特別な事情がある場合を除く)という罰金制度が導入された。結果、社員の遅刻が劇的に減ったかというとそんなことは無かったが、ごく一部の社員を指導する人間のストレスが減った。
  2. 30分区切りで時給が発生していたために16時32分にタイムカードを押すと17時扱いだったが、労働基準法に則り1分単位で給与が出ることになった結果「都合で5分遅れる」などカジュアルに遅れるスタッフが増えた。が、その代わり多少遅れても急いで来てくれるようになったので、全体としてはメリットの方が大きかった。

どちらも遅刻に対してどう対処するか?という問題です。

1つは厳罰を科した結果、基準がはっきりして指導する人間のストレスが減りました。しかも罰金を原資とした「無遅刻無欠勤ボーナス制度」も同時に導入されたため、遅刻の被害を受けているスタッフも報われるようになり、全社的にストレスが減りました。個人的に「厳罰」は好きではありませんが、このマネージメントは絶妙だったなと思っています。

もう1つはシステムの変更で遅刻という概念がなくなった例です。5分遅れても残りの25分は給与が出ることになったおかげで、バイトのモチベーションが上がりました。まあもちろん上がるときも分単位で上がるので実は給与が増えるわけではないんですけど、その辺は気持ちの問題です。


どうするのがベストというのはなくて、それぞれの組織に合わせた施策というのがあると思うんですよね。くら寿司なんかただでさえ管理が厳しい会社なので(厨房にカメラがあって中央の管理システムから監視されているらしいです)、これ以上厳しく出来ないんじゃないかという気もしますけど、でもそのおかげで逆に「制度では縛るけど縛る人間はいない」みたいになってたのかなあと思います。それだとなかなかね。限界ありますよね。制度を尊重出来る殆どの人は正しいけれど、今回みたいな特異なバカは弾けないという。 


単純に厳罰化だとか憎悪だとかそういうことじゃなく、これを機会に「ちょうどいい管理システム」を考えるきっかけになったら良いんじゃないかなと思います。あんまりバカに合わせた制度を作っても生きにくいですけどね。