「集団的自衛権の行使容認」ってどういうことなのと聞かれたけれど

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そういう話題が晩ご飯のときに上がって、漠然とは把握していたもののすっきりとした回答が出来なかったので少し調べてみたらば、とてもわかりやすくまとまっているサイトがあったので紹介。

集団的自衛権の行使容認 | 新聞報道の比較・社説スタンスの可視化・政治テーマの論点整理 | Media Watch Japan

まとめサイトにありがちな「どちらかの主張をあらかじめベースとしたまとめ」ではなくて、論点の整理とその概要解説を主とした材料提供的なまとめになっているので、様々な主張を良く前の前知識として読んでおくと良いと思います。




ちゃんと答えられなかった疑問とは

「アメリカがどこか攻撃したら、日本も一緒に攻撃するんでしょう?」

「戦争法案」という「呼称」は主にそういう誤解から来ているわけですけど、これに対してきちんと説明が出来なかったのです。集団的自衛権とは何か、その行使条件とは何か。それがスパッと出てこなかった。

先のまとめサイトから引用すると、まず集団的自衛権とはこういうことです。


集団的自衛権の行使容認 | 新聞報道の比較・社説スタンスの可視化・政治テーマの論点整理 | Media Watch Japan

「個別的自衛権」とは、自国が攻撃された時に自衛のために武力行使する権利。
「集団的自衛権」とは、同盟国が攻撃された時に一緒になって反撃する権利。
「集団安全保障」とは、侵略行為をした国を諸外国が団結して制裁を加える体制。



日本の同盟国と言えばアメリカですが、もしアメリカが中国に攻撃された場合、日本が中国に反撃する。これは集団的自衛権の行使に当たります。アメリカが北朝鮮を侵略し、日本も参戦する……これは集団的自衛権の行使ではありません。

ちなみにアメリカへのテロ行為への報復としてのアフガニスタン侵攻、これについては、テロ組織による攻撃が「自衛権の対象となる「武力攻撃」にあたるか」という点で議論があり、なんとも言えません。アルカイーダとアフガニスタンの関係、影響度合いから見ると、微妙なところですが、単発的なテロ攻撃を「武力攻撃」と呼ぶのはちょっと無理があるかなと個人的には思います。



次に、今回の法案では、集団的自衛権は限られた条件でのみ行使出来ることになっています。いわゆる国際法上の「集団的自衛権」にはなっていません。先のサイトの別の解説ページから引用します。


集団的自衛権を行使できる「新3要件」を示した閣議決定 | 新聞報道の比較・社説スタンスの可視化・政治テーマの論点整理 | Media Watch Japan

集団的自衛権も認める新たな3要件

  • 我が国、または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
  • これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
  • 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと



つまり、同盟国に対する武力攻撃があったとしても、それが日本国や日本国民にとって脅威にならないのであれば、集団的自衛権は行使出来ません。

とある麻薬組織に娘が捕らえられ、元特殊部隊コマンドー隊長であった父親が、「ちょおまそれ第三次世界大戦じゃないの」的な勢いで、大規模な武力「攻撃」を行ったとしても、それは日本とはなんの関係も無いので、自衛隊は派遣出来ません。

例えば北朝鮮軍による在韓米軍への武力攻撃が発生したとか、中国軍による沖縄米軍基地への武力攻撃が発生したとかいう場合には、自衛隊を派遣することが可能です。ただし、それもフリーハンドで出来るわけではなく、実力行使をするまでに外交的な解決を試みどうしても不可能な場合に限り行使可能です。



ここまでの話を踏まえた上で、それでも「これは戦争を行うための法律改正である」とか、「将来は徴兵制に移行して若者を戦争に連れて行くのだ」と言った主張をするのであれば、それはもう色んな意味で僕とは違う世界にいるので、解り合えないかなあと思います。そういう理解が一部国民に浸透したことは、安倍内閣の拙速な手続が招いたことであり、正直それだけを根拠として退陣を求めてもいいかなとさえ思いますけれど、法案自体に関しては、「日本国が蹂躙されないためにどうすればよいのか?」を考えた上で取られたアプローチだと僕は考えています。