「ののちゃん」でファド歌手のロカちゃんを見出したキクチのばあちゃんとカルチャーについて


第9集でついにスカウトされファド歌手としてメジャーデビューしたロカちゃん。思えばそのロカちゃんを最初に見出したのはキクチ食堂のおばあちゃんでした。バックバンドの2人と一緒に商店街で歌っているのをおばあちゃんが聞いていて、「良さなんかわからんけど物珍しくて見てくれてるんだろう、でも立ち止まってくれる人がいるのはありがたい」と思っていたら、ばあちゃん存外にその良さを理解していて、キクチ食堂の定休日に店でライブするよう取りはからってくれ、それでロカちゃんは自信を付け、最終的にライブに来たレコード会社の人の目に止まってなんやかやでスカウトされる……確かそんな流れだったと思います。んで、その一番最初のキクチのばあちゃんがロカちゃんに注目したときの4コマが、僕にとっては凄い印象に残っていて、といっても第何集に収録されているのかさっぱりわかりませんけど、「カルチャーってそういうもんだよね」と強く感じたのでした。


同じような話。

マンガ「GIANT KILLING」。かつては多くのサポーターを抱えたけれど2部降格を経験してすっかりサポーターが離れてしまい経済的にも苦しいチーム、East Tokyo United(ETU)。全盛期にチームを支えたエースが監督として戻ってきて、チームを少しずつ変えていく……という話なのですけど、サポーターの話の中で印象的なのは、エースが海外移籍しチームが2部に降格しサポーターの数がめっきり少なくなってしまっても、そのチームの姿をバックスタンドでずっと眺め続けたじいちゃんたち。流行がどうとかチームが強ければとかそういう言い訳が一切無く、ただ単純にサッカーが好きになり、ETUが好きになってずっと試合を観戦に、そしてチームを応援しにスタジアムに通ってくれている人たち。ファッションではなく見返りを求めるのではなく発散でもなく、ただそこに愛するチームがあり、それを応援しに行く。それが子供でも若者でもなくてじいちゃんたち。そう、カルチャーってそういうもんですよね。


サッカー繋がりで。

僕は出身が静岡(静岡市)で、他の都道府県の人とはサッカーに対する思い入れが違うという自負があります。最近では有望選手はみんなJリーグユースに行くこともあってあんまり高校サッカーで活躍してませんけど、それでもやっぱり静岡出身のJリーガーは多いし、サッカークラブにも入ってなかったしサッカー部でもなかった子供の頃の放課後の想い出が、「授業終わったあと、学校から追い出されるまでずっとサッカーばっかりしてたこと」だというのは相当に特殊なことだと思います。そんなんないと思うよ普通。

で、静岡市というと清水エスパルスなわけですが、こちらの方も結構バカにならない割合で熱狂的なファンという人がいます。それも若い人だけではなくて、僕の両親の世代でも、「あそこは夫婦揃って熱狂的なエスパルスファンだから土曜日はいつもいないよ」みたいな人がちらほらいます。「チームを応援しましょう」っていう静岡市の声、あるんだろうけど、聞いたことないですね。そんなのまあ、当たり前ですからね。もうあと10年くらいすると、孫連れて3世代でバックスタンドに座る家族とか増えるんじゃないですかね?いやひょっとすると今でもそうかも知れません。そんで、やっぱり思うわけです。カルチャーってそういうもんですよね。


僕は、カルチャーってのは、そういうもんだと思うわけです。