【読書感想文】 藤村 忠寿/嬉野 雅道 / 腹を割って話した


番組を裏で支えるディレクター陣が、北海道の温泉宿で夜を徹して語り合った。これまで互いに知り得なかった根幹の部分に触れる、初の対話集。


そう銘打たれた本書はまさにその通り、水曜どうでしょうを支える両ディレクター陣の対談を、およそそのまま文字起こししておさめた1冊。

非常に面白くて「買って良かったの1冊」なのですけれど、読んでから2ヶ月間の間、何度も書こうとしたけど感想文が書けなくて。
何で書けないかなーというと、話題が盛りだくさん過ぎなんですね、これ。
本当に2人のディレクターが温泉宿に1泊旅行に行って、昼から深夜に渡ってずーーっと想いのだけをだらだら話し続けてるのをバキッと1冊にまとめちゃったから、書いてあることをまとめようがないんです。何が書いてるかを知りたかったら、もう、読んでくれとしか。だって、筋書きとか無いんだもんよ。

話の内容の6割くらいはDVD副音声の中で話していたことです。僕は仕事中、水曜どうでしょうDVDの副音声を聞きながら仕事する機会が多いので、藤村さんや嬉野さんが何を考えて作っているか/いたかを繰り返し聴いています(全16作品、通しで20回くらい聞いてる)。だから本書の内容も「そう言えば言ってたなー」と思うことがあるのですけど、普通そこまで知ってる人ってのも殆どいないわけで。副音声なんか1回聞けば十分だし。それが今回、こうやってきちんと文字にまとめてもらえて、誰でも読めるような形になったことが嬉しいです。



そういうわけで内容をかいつまんで紹介するのは難しいのだけど、話していたことの中から非常に印象に残ったことを2つだけ。


一つめは、

  • 『温泉に入って気持ちいいなぁ』というところから逆算していくという考え方

簡単に説明したくはないけど紙幅の都合で敢えてするなら、何がどうなったら気持ちが良いのか?ということをきちんと認識して、それに必要なことをやっていくという考え方かな。何でもそうなんですけど、人間、色々やってると本来の目的以外のことにとらわれたりしますよね。自分の意見をまとめるためにブログ書いてたのに、気付いたらアクセスを獲得するのが目的になってたりとか。売り上げを伸ばして自分の給料を上げることを目的にしていたのに、同僚への嫌がらせが目的になっていたりとか。

きちんと目的があり、そのために必要なことを用意していけば、例えその必要なことが面倒なことでも頑張れる、という。「がんばる」のと「嫌なことを嫌々やる」というのは別のことで、必要性を納得出来ていれば、頑張れるよね、という話。


二つめは、

  • 『逃げ場を作ると踏ん張れる』からぎっちり詰めれば結果が出るというもんでもない

何かをやらせるために他の選択肢を切っていって追い込んでいくとうのはまぁ常識的なのだけど、藤やんの言うアプローチは違って。

相反することかも知れないけど、「場を与えているんだけど、この場に縛られる必要はない」っていうのを同時に与えたいっていう。「ここにいてください」っていうと、人間はこっから出ることばっかり考えるんだねえ。

じゃなくて、「ここにいてください。でもいたくなければ出てもいいんですよ」っていうことをやると、たぶんいてくれるっていう、感覚があるんだよね(笑)。
(p.207)

あー。

仕事でも家庭でもそうなんだけど、何かをきちんとやらせるためにルールを全て決めてがちがちに縛るのは、下策だなぁと感じてます。下策だなぁと思ってもそれ以上に上手くやる方法がわからない/自信がないからがちがちに決めるんだけど、案外ね…正解はそういう所にないのかも知れないよね。まぁ目的を共有できていると言うことが前提の話だなぁとは思うけれども、逃げ場があると指示した方のストレスも減る(規則が決まっていると「破る」というストレスが発生するのよね)し、やる方も気が楽だし、結果的に上手く行くような。

とても、大事なことだと思いました。ええ。



他にも感じたことはたくさんあるのですけど、上手くまとまらないのでとりあえず2つだけ。

また読み返して、それでまた何か思うことがあれば、また何か書きます。