【読書感想文】 伊坂幸太郎 / 砂漠

砂漠砂漠
伊坂 幸太郎
実業之日本社 2005-12-10
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伊坂幸太郎、砂漠。

物語の中に「事件」が発生しないわけではなく、むしろそのことが登場人物それぞれの人生を左右していくことになるのだけど、なぜだかそのことがあまり印象に残らない不思議な小説だな、と思った。物語の中で描かれるエキセントリックで非日常的な事件よりも、それに関わってしまう人物それぞれのベースにある日常の穏やかな空気がもの凄く印象に残って、全てがオールオッケーな軽薄なストーリーじゃないにも関わらず温かで爽やかな読後感だった


章ごとに1年が語られて、語るの面倒だしあとは別に良いじゃん的に流されていく出来事と出来事の間をもっと見てみたいとも思うのだけど、同時に、学生生活ってのは確かにこんなスピードで過ぎていったよなぁとも思って。そういうタッチも爽やかさに寄与しているのかもしれないな。


青春時代は全てが希望に満ちていて頑張れば全てが上手く行く、そんな側面だけを描くような「青春小説」に飽きた方に是非。

人生とはコントラストとエッジだと強く感じた。