北朝鮮による「ロケット」発射に関する(アメリカだけじゃない)世界の報道はどうだったのか?

Gigazineでそんな感じのエントリが上がっていたんだけど、

で、世界各地ではどのように今回の件がネット上で報じられているのか、調べてみました。AP通信、ロイター、ニューヨークタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ワシントンポストなど、それぞれ日本のメディアと同じように報じているわけですが、少しずつ違っており、なかなか興味深いことになっています。詳細は以下から。
 

どうみても、アメリカとロイター(それもソースは日韓)だけです。本当にありがとうございました。


適当なお茶濁しじゃなく、本当に気になったので、いくつか調べてみた。
(余裕でGoogle先生大信頼なので、誤読があったらごめんなさい)


まず、ドイツ。
色々あるけど、中道右派のディ・ヴェルト誌を選択してみた。

Nordkorea erschreckt mit seinem Raketenstart die Welt. Aus dem Kim-Il-sung-Hymnen sendenden Satelliten könne sehr schnell eine Atomrakete werden, befürchten Militärexperten. Während unter der Führung der USA ein “Antiproliferations-Bündnis” Nordkorea im Zaum halten soll, verbittet sich Kim Jong-il jede Kritik.
 

Google先生によるとタイトルは「核ミサイルを人工衛星からの小さな一歩」ってことで日本語でOKなわけだけど、記事全体を見た感じだと仮に人工衛星だったとしてもこの技術は核ミサイル技術に結びつく可能性が大きいので、警戒が必要だと言ってる感じ。

北朝鮮がロケットを発射し、世界中の人々に衝撃を与えた。金正日は核ミサイルをすぐに発射できるようになるのではないかと、軍事専門家は懸念を示しています。アメリカ主導の下、拡散防止の取り組みの中で北朝鮮を監視する必要があります。(Google翻訳+超訳、以下同じ)



フランス、フィガロ誌。

まず発射前。

Pyongyang continue de présenter ce tir d’essai comme le lancement d’un simple satellite de communication et prévient que d’éventuelles sanctions de l’ONU mettraient fin aux négociations sur sa dénucléarisation.
 

タイトルは「北朝鮮が長距離ミサイル配備」。人工衛星とか聞いてねぇw

発射後。

Pyongyang a procédé dimanche au tir controversé d’une fusée longue portée. Washington et ses alliés asiatiques, qui estiment que la tentative de placer un satellite en orbite à échoué, redoutent qu’il ne s’agisse en réalité d’un tir expérimental de missile Taepodong-2.
 

日米韓首脳のコメントだけでなく、サルコジ大統領の警戒コメントも上げて全体的には批判めいた感じ。

サルコジ大統領は北朝鮮に対し「北朝鮮の行為は国際法を超えており、この挑発に対する答えは1つしかない。国際社会が国際的なルールを尊重しない国を処罰することになるだろう。国際社会全体で罰則を決定し、協調してこれに当たることが必要だ。ただ、長期的にはともかく、現在は軍事的に積極的に動いているとは言えない」と語った。


イギリス、タイムズ誌。

President Obama called for North Korea to be punished after the isolated communist state fired an intercontinental rocket this morning, defying weeks of warnings from world leaders and provoking anxiety across north-east Asia.

The UN Security Council will meet in emergency session in New York this afternoon after a demand for action from governments across the world, including the US, Britain, France and above all Japan, over whose territory the rocket flew. It is unlikely that Russia and China will agree to new sanctions because the projectile appears to have been the vehicle for a satellite, rather than an intercontinental ballistic missile.
 

つーかミサイルだったんじゃねーの的ニュアンス?最初にオバマのコメントで始まるのも印象的。

オバマ大統領は今朝、「孤立した北朝鮮は、世界の指導者からの警告に反してロケットを発射した。これは北東アジア全体の不安を招くことになり、罰せられるべきである」と述べた。



ザ・サン。

NORTH Korea shocked the world by launching a long-range rocket over Japan early this morning.

The launch came after world powers had called on North Korea to scrap it’s missile plans that had caused international alarm.
 

基本的には日米韓の非難コメントの紹介だけど、タイトルはきっちりミサイルを発射した、と書かれてるなぁ。

北朝鮮が今朝、日本を飛び越える形で長距離ロケットを打ち上げて、世界に衝撃を与えた。
世界の大国が北朝鮮に対して、計画の中止を警告していた中での打ち上げだった。

(中略)

貧困にあえぐ北朝鮮は、周辺地域からの譲歩を勝ち取るために軍事力の脅威を利用している。打ち上げについて、平和的な宇宙プログラムの一環で人工衛星を搭載したものであり、迎撃した場合には戦争になるとしている。


最後にアルジャジーラ(英語版)。

North Korea has said that it has launched a long-range rocket, defying calls from world leaders against the firing.

North Korean state media reported that Pyongyang had sent a satellite into space at 0029GMT on Sunday and that it was now circling the earth.

However, the US and South Korea later said that no object connected to the missile had reached orbit.
 

アルジャジーラは基本的には「人工衛星を打ち上げた」という立場を維持して、北朝鮮に対して穏便な作りになっている印象。ただ、事実関係が不明であるが故に事実だけを並べて様子を見ている…と言うようにも取れそうな気が。

北朝鮮は、世界の指導者からの中止を求める声を拒否し、ロケットの打ち上げを行ったと発表した。北朝鮮の国営メディアによると、人工衛星は0029GMTに起動に乗り、現在地球を一周したとのこと。
しかし米国と韓国は、軌道に達したものは何一つとしてないと発表している。

(中略)

レオニードペトロフ(オーストラリア国立大学)は、この打ち上げには2つの強力なメッセージが込められていると語る。「1つは、北朝鮮は抑止力のための新しい技術を持っている。だから、何人たりとも内政干渉を許さないし干渉した場合には報復する」「そしてもう1つは、人工衛星だけでなくミサイルを発射できる技術がありますよ、と顧客にアピールすることだ。」



まだまだ、重要な新聞はあるような気がしますが、翻訳もなかなか骨が折れるのでとりあえずこの辺で。5誌を眺めてみた感じでは、日本のメディアだけが取り立てて大騒ぎしているというわけでもなく、ある程度の衝撃を持って受け止められているというのがわかるかと思います(もちろん、地理的、文化的距離による他人事感みたいのはあるけども)。少なくとも、どの新聞も各国の非難を取り上げている点で、「人工衛星だったらどうするんだ!」なんていう芸人顔負けの斜め上は書いてないですね。

日本の主要メディアとアメリカのメディアは大体何書くか予想が付くんで、まぁ別に言及する必要はないでしょう。はい。後は偉い人に任せたいと思います。