水曜どうでしょう 自然公園法違反@鳥取砂丘の件

昨日か一昨日、某サイトを更新したときに、
「水曜どうでしょう」に関するお詫び』っていうリンクが増えてるのに気付いて。
それによると、
当社制作番組「水曜どうでしょう 原付西日本制覇 第1夜」(#156/HTB2000年5月24日放送)およびリメイクした「どうでしょうリターンズ」(#135/HTB2002年10月9日放送)、「水曜どうでしょうClassic」(#123/HTB2007年5月16日放送)の中で、国立公園・鳥取砂丘の特別地域において自然公園法で禁じられている砂の採取をしたことがわかりました。
関係者および視聴者の皆様に対して謹んでお詫び申し上げます。
今後は二度とこのようなことがないよう、指導・教育を徹底して参ります。

2007年8月7日 北海道テレビ放送株式会社 (HTB)
 
だそうです(笑)

いや、違法なわけで、笑うとこじゃないし、
制作者、それを笑って見過ごしてた僕らの鈍さも反省すべき所なんだけど、
なんかさーでっかくなったねーと思って。
Yahooのトピックで取り上げられちゃうくらいだもんなー。
(Yahooトピックの題名はどうにかならんかと思ったけど。→ “「水曜どうで」7年前の違法発覚”)


ちなみに、ここで言われている自然公園法の違反が、
どの程度の罰則を科されるかを調べてみると。
(法令の引用が異常に長いので、結論はこちら


自然公園法

第四章 罰則
第六十九条 第二十七条第一項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
  • 第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項又は第二十四条第三項の規定に違反した者
  • 偽りその他不正の手段により第十六条第一項の認定を受けた者
  • 第二十五条の規定により許可に付せられた条件に違反した者
第七十一条 第二十条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第七十二条 第二十六条第二項又は第四十条の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
第七十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
  • 偽りその他不正の手段により第十六条第五項の立入認定証の再交付を受けた者
  • 第十九条第四項の許可を受けないで認定関係事務の全部を廃止した者
  • 第二十二条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
  • 第二十六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
  • 第二十六条第五項の規定に違反した者
  • 第二十八条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
  • 第二十八条第二項の規定による立入検査又は立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
  • 国立公園又は国定公園の特別地域、海中公園地区又は集団施設地区内において、みだりに第三十条第一項第一号に掲げる行為をした者
  • 国立公園又は国定公園の特別地域、海中公園地区又は集団施設地区内において、第三十条第二項の規定による当該職員の指示に従わないで、みだりに同条第一項第二号に掲げる行為をした者
  • 第五十条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入り又は標識の設置その他の行為を拒み、又は妨げた者
第七十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第六十九条、第七十条、第七十二条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第七十五条 第十六条第六項の規定に違反して立入認定証を携帯しないで立ち入つた者は、十万円以下の過料に処する。
第七十六条 第六十条、第六十二条又は第六十三条の規定に基づく条例には、その条例に違反した者に対して、その違反行為の態様に応じ、それぞれ、前各条に定める処罰の程度を超えない限度において、刑を科する旨の規定を設けることができる。


とまぁ、なんだかよく分からない。
1つずつ見ていくと、

まず、69条で定められた『第27条第1項の既定による命令』というのは、

第27条第1項
環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の保護のために必要があると認めるときは、第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項若しくは第二十四条第三項の規定、第二十五条の規定により許可に付せられた条件又は前条第二項の規定による処分に違反した者に対して、その保護のために必要な限度において、その行為の中止を命じ、又はこれらの者若しくはこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

ということかな。

この場合だったら、砂の採取だから、
それを速やかに元に戻す(原状回復)ことで、このことは果たされるんじゃないかと思う。



次に第70条、もうあっちこっち行って涙目だけど、
まず第1項の4つの項を引用すると、

第13条第3項
特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、当該特別地域が指定され、若しくはその区域が拡張された際既に着手していた行為(第五号に掲げる行為を除く。)若しくは同号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為若しくは第七号に規定する物が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。
  • 工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
  • 木竹を伐採すること。
  • 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
  • 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
  • 環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
  • 広告物その他これに類する物を掲出し、若しくは設置し、又は広告その他これに類するものを工作物等に表示すること。
  • 屋外において土石その他の環境大臣が指定する物を集積し、又は貯蔵すること。
  • 水面を埋め立て、又は干拓すること。
  • 土地を開墾しその他土地の形状を変更すること。
  • 高山植物その他の植物で環境大臣が指定するものを採取し、又は損傷すること。
  • 山岳に生息する動物その他の動物で環境大臣が指定するもの(以下この号において「指定動物」という。)を捕獲し、若しくは殺傷し、又は指定動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
  • 屋根、壁面、塀、橋、鉄塔、送水管その他これらに類するものの色彩を変更すること。
  • 湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域内へ当該区域ごとに指定する期間内に立ち入ること。
  • 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
  • 前各号に掲げるもののほか、特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

第2号に抵触ですな…あ、ちがうか、
鳥取砂丘は特別保護地区に指定されているから、
第13条ではなくて、次の第14条が適用されるんだ。

第14条第3項
特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、当該特別保護地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際既に着手していた行為(前条第三項第五号に掲げる行為を除く。)若しくは同号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。
  • 前条第三項第一号から第六号まで、第八号、第九号、第十二号及び第十三号に掲げる行為
  • 木竹を損傷すること。
  • 木竹を植栽すること。
  • 家畜を放牧すること。
  • 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
  • 火入れ又はたき火をすること。
  • 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
  • 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
  • 道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
  • 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

というわけで、第13条第3項第2号の内容に抵触ってことで、
この条項の第1号に抵触。

第15条第3項
何人も、環境大臣が定める期間内は、次条第一項の認定を受けてする立入りに該当する場合を除き、利用調整地区の区域内に立ち入つてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
  • 第十三条第三項若しくは前条第三項の許可を受けた行為(第五十六条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)又は第十三条第六項若しくは第八項若しくは前条第六項の届出をした行為(第五十六条第三項の規定による通知に係る行為を含む。)を行うために立ち入る場合
  • 非常災害のために必要な応急措置を行うために立ち入る場合
  • 公園事業を執行するために立ち入る場合
  • 第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うものを行うために立ち入る場合
  • 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるものを行うために立ち入る場合
  • 前各号に掲げるもののほか、環境大臣又は都道府県知事がやむを得ない事由があると認めて許可した場合

ま、これは関係ないか。

第2項、第3項は、偽りは無し、許可も受けていないので関係ないし。
でも、総合的に見て、第70条第1項には抵触してますね。
(だいぶ疲れてきた)


次、第71条、第72条。
関連する項目は以下だが、関係ないっぽ。

第20条第1項
指定認定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員並びにこれらの者であつた者は、認定関係事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
第26条第2項
環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風景を保護するために必要があると認めるときは、普通地域内において前項の規定により届出を要する行為をしようとする者又はした者に対して、その風景を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。
第40条
環境大臣又は都道府県知事は、公園管理団体の業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、公園管理団体に対し、その改善に必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

と、第73条以降も、主に手続きに関する規定のようだ。
あんまり関係ないかな。
(最後は斜め読み)




というわけで、結論。

第70条の規定に従い、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金


生態系に著しく害を与えるような物ではないだけに、
そんなに重い罰則が科せられることはないと思うのだけど、
(この程度の軽微な自然公園法違反に対する判例みつけられなかった…
工事会社による土石の採取とかはあるんだけど)

ま、いずれにせよ、
道徳的な点で言って問題はあるわけなので、
反省して次に活かして貰えれば。



…てか、なんかこういうのたくさん出てきそうで不安だ(汗)




追記:2007/08/12

コメント欄で、『特別保護地区に指定されたのは3年前』と言う指摘を受けました。
確かに、そうなると、上記14条ではなくて、13条が適用されることになりますね。

なるほど、ということでソースを探してたんですけど、
関連する情報が見つからない(苦笑)
鳥取市鳥取県環境省
山陰海岸国立公園鳥取県文化観光局と調べたけど、
探している資料が比較的古いせいか、デジタル化されてない様子。

まぁしかし、
とっとり政策総合研究センター(TORC)のレポートなどを参照するに、
特別保護地区指定に関しては、
年表上、以下のようになっているらしい。

鳥取砂丘観光の課題と方向性 ?砂丘政策の歴史的分析から?(PDF)

  • 1963(昭和43)中心部113haが特別保護区に指定
  • 1990(平成2)公園区域および公園計画の再検討
  • 1996(平成8)同 第1回点検
  • 2006(平成18)同 第2回点検(PDF)

問題となっている“レストハウス”というのがどこかはよく分からないのだけど、
(例えば、こことか?)
まぁ多分中心地域には違いないだろうと思うし、
そうなると、3年前っていうのがよく分かりませんね。
僕の探した範囲では、3年前ではなく、45年前、と
言わざるを得ないかなーと。
該当地域が追加されたという情報があれば良いんですけどね。

というわけで、保留と言うことで。


まぁ、話の流れには特に関係ないので、
ぶっちゃけどっちでもかまいやしないんですが、
気になるっちゃー気になるので、
どなたかはっきりしたソースをお持ちの方がいましたら、
コメントいただければと思います。



追記:2007/08/13

さらに追記。

このエントリのリファラにあった、2chのスレッドの情報によると、
レストハウス近辺の地域は、特別保護地区ではなくて、
第2種特別地域にあたるらしい。
(スレッドへのリンクは何となく削除)

ソースは読売新聞。

鳥取市によると、現場は山陰海岸国立公園の第2種特別地域にあたり、自然公園法により砂などの採取は禁じられている。
 

レストハウスが僕は特定できてないから、
これが信用できるかどうかは分からないけど、
まぁ鳥取市のコメントと言うことで信用すれば、
第13条第3項が適用、ということになりましょうかね。


なお、この直近のレスでは楽観的なレスもあったけど、
(もの凄く大雑把に言うと、軽微だから大丈夫、かな)
どうだろうかねぇ。

例えそう言う判断/処分になったとしても、
法律に抵触は抵触だから、
その辺の制作陣に与える影響はゼロにはならないと思うなぁ。
このTV番組の、視聴者に与える影響から考えると、
行為そのものと言うより、放送含めた全体が、
決して軽微とは言えないような気がするし。

鳥取砂丘の再生、維持管理に費やされている、
現地の人の情熱を考え合わせると、
安易に大丈夫、とも言えない心情(あくまで心情)にもなる。


もちろん、水曜どうでしょうを擁護したい気持ちは、
もの凄くいっぱいあるんだけど…



このニュースを受けて、番組を購入している各社はどう考えてるんだろう?

とりあえず、KBS京都さんはどうなんだろう…



追記:2007/08/13

さらにもう一個。

ごめんよ五月雨で…スレ追ってるわけじゃないんで…

さっきのスレッドの493のレス。
丸々引用。

493 :名無しでいいとも!@放送中は実況板で:2007/08/11(土) 02:27:44 ID:dLm7vlcV0
法令に明るい人が少ないのにびっくり。
自然公園法に限らず、法令には例外規定がつきもの。
確かに自然公園法第13条第3項には「大臣や知事の許可なしにやってはいけないこと」に関する禁止規定がある。
しかし第13条第9項第3号に「軽易な行為で環境省令で定めるもの」は許可を要しない(つまり違法ではない)とある。
その環境省令に当たるのが自然公園法施行規則。その第12条第19号に「許可を要しない事例」の一つとして、

  「土地の形状を変更するおそれのない範囲内で、鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。」

とはっきりした除外規定がある。ちなみに、法令というのは往々にして改正されるが、この第12条第19号は昭和32年の制定時から全く手つかずなので、原付西日本収録時も当然有効な「例外規定」だった。

カブの荷台に積める程度の量の砂の採取は、「おそれのない範囲内」だろう。
ただね、それを放送で不特定多数の人が見て真似をするという「悪しき波及効果」はあるから反省は必要。

でも、違法でない以上、お蔵入りは必要ないんじゃないか。
たとえばテロップでのおことわりだけでなく、DVDの冒頭でその経緯と「好ましくない具合」を説明して、その上でDVD化でもいいと思う。
HTBもD陣も謝りすぎ。平謝りする前に、ちゃんと法令を調べる弁護士はまわりにいなかったのかね。

要旨をまとめると、
  • 例外規定にあたるから違法ではないのではないか
  • ただし、『悪しき波及効果』の責任はある

んで、その例外規定ってのはさっき、引用を割愛したのだけど、
改めて引用しておくと。

第13条第9項
次に掲げる行為については、第三項及び前三項の規定は、適用しない。
  1. 公園事業の執行として行う行為
  2. 第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
  3. 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの

で、軽易な行為って言えるのかどうかわかんねーなーと思ったので、
環境省令まで行かなかったのだけど、
(何キロとか許可されてるわけじゃないから何とも言えないよね)

一応、そういう視点もあると言うことで、
環境省令(自然公園法施行規則)も調べておこう。
(異常に長いんで、該当部分のみ)

自然公園法施行規則

第12条
法第十三条第九項第三号 に規定する環境省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
  1. 土地の形状を変更するおそれのない範囲内で、鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。


仮に、『軽易な行為』と認められるなら、
この環境省令で定める行為になるな、と思う。
でもやっぱり、胸先三寸てやつ。

で、493さんも言ってるとおり、
法律上の責任と、道義的責任とは別だから、
悪くないってことにはならない。

もし仮に違法でないんだとしたら、
それこそ、ベトナムDVDでの、
『拉致』のセリフカット程度の問題かもしれない。


ちゃんと弁護士に相談できてるかなぁ…