初期ニコニコ動画にあった軽いエンタメ的な動画は全部TikTokにある

最近暇な時にだらっとTikTok見てる時間がよくあるんですけど、面白いですね。ちょっと面白いことやってるとか、ちょっと格好いいダンスしてるとか、可愛い犬のちょっとした仕草とか、特に何も考えずに見られるかるーいエンタメ動画がたくさんあって、しかも1つ1つがものすごい短いから延々見られます。
(15秒までの動画が投稿可能でファン1,000人を越えると60秒まで投稿可能に)。



考えてみればこのTikTokの香りって今や衰退しきってしまったニコニコ動画の初期の頃の感じに似てるんですよね。アニメだとか実況だとかではなく、オリジナルで撮って出す感じの動画。身内感がありつつ知らない人と楽しめる感じもありつつ。流行りの音ネタに振りを合わせていくとか、すごい既視感ある。当時は今に比べて遥かに回線・端末環境が悪く、動画投稿するのにもノウハウが必要で結構大変でした。今だと考えられないくらいのだるさ(ビデオカメラで撮ってパソコンで編集してニコニコ動画用に調整してアップロードする、たった2分のネタ動画なのに!とか)だったけれど、あれだけ色んな「面白さ」が集まってたのは、そういう場が珍しかったってことなんでしょうね。だるさを上回るだけの意味があった。


時は流れてそうした動画はスマホで撮ってスマホで編集してそのまま投稿するスタイルに変わりました。投稿するに当たっても、形式だとか長さだとかエンコードだとか邪魔くさいことは一切考えなくてよく、投稿ボタンを押せば数秒で完了します。本当に便利になりました。そういう流れでTikTokが多くのユーザーを集め、動画を抱え、人気になっているのはとてもよくわかります。自分がフォローしている人の動画と運営がオススメする動画、その2つしかトップにないUIもシンプルで良いし、しかもオススメのアルゴリズムが優秀だから最近気になってるテーマの動画をこれでもかと紹介してくる。柴犬見ていいねしてたらしばらく柴犬とか、可愛い女の子にいいねしたらしばらく可愛い女の子とか。TikTokのせいで妙にディズニーのファンカストに会いたくなってきました。


これだけ若者の間で盛り上がってるのを目にすると、つくづくニコニコ動画の敗因は、動画投稿のハードルを下げられなかったことにあるなあと思ってしまいますね。ハードウェア的な意味でもソフトウェア的な意味でも、動画を投稿するという苦行を変えることが出来なかったというのはかなりデカい。コメントUIをベースに1分程度の動画を載せるみたいなことが実現出来てたらもうちょっと違ったかも知れない(ただしすっげー荒れると思う)けど、いまさら言っても遅いよね。それだけTikTokがタイミング的にも技術的にも見事だったってことかなと思います。すげーよTikTok。

そりゃ今さらニコニコ動画に若者はこないよなあ。アーカイブ的なのはYouTubeに、軽いのはTikTokに。それで十分だもんな。僕らニコニコ動画が好きな人は、あのコメントが流れるUIが好きなんだと思うんだけど、あれはこのまま廃れていくのかな。惜しいなあ。実に惜しい。