現代の住居と気密性

空とマンション
今年の夏の暑さを経験して改めて思ったことは、近代的なマンションというのは基本的にエアコンありきで設計されているんだなということ。今住んでるマンションもものすごく気密性が高いんです。南向きベランダでそれ以外に西側に窓がありますが、その両方を全開にしてなんとか風が通る程度。それらを閉めると空気の出入りがほとんどなく、夕方以降は屋外より室内の方がかなり暑い状態になります。寝る頃には屋外では28℃ぐらいまで下がっていますが、室内では32℃くらい。だいたい5℃くらい違うんじゃないでしょうか。


そういう環境でエアコンを付けると冷気が外に漏れにくいので効率よく冷やされ、かつ温度を長く維持できます。冬も同じで、エアコンにせよ灯油ストーブにせよ、室内の暖房機器が発する熱が外に拡散しにくく、すぐに暖かくなって長く保つ。現代人の生活スタイルにマッチしていて、良く出来ているなあと思います。


つまり、僕らの生活スタイル(特に夏)が現代的じゃないってことなんですよね……



その昔京都で一般的だった個人住宅の様式「京町家」スタイルだと、重視されたのは風通しの良さでした。敷地面積の大きさによって様々なバリエーションがあるものの、炊事場の上が吹き抜けになった「火袋」、玄関から裏口まで真っ直ぐ延びた「トオリニワ」、熱の発散と空気の流れを作る「中庭」、外から見えにくくかつ通気性も確保する「格子窓」などなど。

もちろん冬は火鉢1つではしのげないくらい寒かったと思いますけど、夏は今の僕らよりもだいぶすごしやすかったんじゃないかと。今僕らが京町家で夏を過ごしたら、今のマンションで過ごす夏よりも幾分楽だろうなと思うんですが、でもまあ根本的にはエアコン買えっていう話でしょうね。現代では京町家だってエアコン完備してると思いますしね。


一般的に普及した技術を前提に、住居なり設備なり機能なりを設計するのは至極当然のことであって、ほとんどの人々が「そりゃそうだろうよ」というようなことなんですけど、まあなんつうか、改めて実感しました。冬は気密性の高さがありがたいんですけどね。