閑静な住宅地の美容院でやんちゃなリクエスト

ないんだな、それが
長年通っている美容院があります。


閑静な住宅地にある、落ち着いた雰囲気の美容院で、僕には似つかわしくないオシャレなお店です。単純に学生の頃からもう20年くらい通ってて、気に入ってるから特に変える必要を感じないというだけで、決して僕自身にオシャレ志向があるわけではないんですけど、まあ、オシャレなお店です。内装もシンプルだし。


んで、先週髪を切りに行ってたんですけど、そこにいつもと違う異彩を放つお客様が。普段は付近にお住まいの女性の方とか、割と落ち着いた感じの客が多いんですけど、その人は金髪のティーンネージャー。駅前のカット1,800円とかそういうところで切ってカラーリングしてもらってそうな男の子で、わかりやすく「顎にマスク」をしてます。なんでこうアホそうなヤンキーはみんな顎にマスクをするのか。職場の近くの古い専門機器屋のニートっぽい息子も1年中顎にマスクしてるけど、何の意味があるんだろう。病弱なのか。だったら口にしたら良いのに。タバコ吸うからか。病気ならタバコ止めたら良いんじゃないか。それともリアルに顎が寒いのか。



ともかく、その少年はその状態で鏡に向かって座り、あれこれリクエストをしています。かなり迷走しててオーナーも困ってたんですが、かいつまんで言うと、今金髪のをホワイトアッシュというかグレーというかにしたい、ということで、でも「多分すぐ抜けるし難しいよ」といわれて「じゃあ紫は?」との返答。紫wwwそんなん商店街のババアしか見たことないぞwwwと思いながら聞いてると紫あるにはあるけどそれも難しい、「黒っぽくなるよ」といわれ「じゃあ黒い感じでグラデーションにするか、赤か緑を入れてください」。グラデーションwww赤緑wwwえーと、マリオ?まあやるだけやってみるけど、的な話でまとまって作業開始。結局、普段行ってる店に紫とか色の在庫がなかったんでここに来てみた模様。なんでこんなとこに……


昔高校生の頃、学校指定の制服を買う店というのは決まっていて、そこに行けば規格品が正価で買えたんですが、思春期の少年達というのはその学ランでは満足できないわけで、みんな繁華街のビルの2階にある市内公立中高校生御用達の店まで買いに行ってました。ズボンはもちろんタック入り、学ランも短いのから長いのまで取り揃え、裏生地のカスタマイズやらカフスボタンのカスタマイズやらきめ細かく対応してくれる店でした。まあ僕は小心者なので、2タックのズボンを買っただけでしたけど、ともあれ、やんちゃな少年達にはそれ向けの店があるはずなんですよね。くだんのカラーリング少年もそういうとこ行けば、安い値段で何色にでもしてもらえると思うし、最近界隈で流行の色や髪型も教えてもらえると思うんだけど、なぜこの店に来てしまった。


聞いてて面白いんで笑いかみ殺しながら聞き耳立ててたんだけど、話まとまって作業入る段階でオーナーに「マスク外してもらえます?」「あっ、はい」って軽く怒られてました。そりゃそうだ。僕はその後オーナーに髪切ってもらって、カラーリングが完成する前に店出ちゃったので彼がその後どんな色になったかはよくわかりませんが、万一その出来が良くて友達に受けて、周りの友達も通うようになったらどうしよう。面白すぎて考えるだけでニヤニヤしてしまうけど、オーナーは嫌がるだろうなあ。