自分自身仕事で嫌な目に遭ったり、それが原因で(望んでもいないのに)仕事を辞めることになったりしたけれど、でもそれは勤めていた会社がブラックだったというわけでは無かった(薄給ではあったけど社長は極力ホワイトであろうとし続けていた)ので、実際ブラックな会社で働いたらどうなのか?ということは実感としてはわかりません。どんな手法で洗脳するのか、追い詰めるのかについてもよくわかっていなかったのですが、この本読んだら、そういう「ブラック企業」を経営する側が何を考えているのかが、嫌味無くとてもピュアな状態でストレートに流れ込んできて、清々しくすらありました。これはひどい。


巻頭こそ、ワタミやユニクロといったブラックとして名高い企業のレポートであるものの、章が進むにつれ中小企業、零細企業、親方と数人の職人と言った土建屋など身近にある存在について、何を考えどう経営しているかというレポートが出てきてなかなかに感じるものがあります。普段は超こわもてで通している親方が、職人達に毎朝1本ずつ缶コーヒーを渡すことで心を掴み、その積み重ねによって遅配を許容してもらったり、公共事業の工期遅れの隠蔽を会社ぐるみでやったりしていて、しかもそれを缶コーヒーの段階からそう意図してやっていて、なんかもうすごいなと。ていうか、どこかの飲食店でよく見ている光景のような気がします。


まあそんな土建屋なんか可愛いもんだけど、ある程度の規模の企業で、3年後には辞めてもらうことを念頭に大量に雇用するって言う企業もあって、なんならそれ以上在籍されると給料上がってかなわんから実力あってもいじめて(実力が無い年下の部下の下に付けた上で、仕事の評価を全部その部下に取らせるとか)追い出すみたいなこと書いてあってなんかもうすごい。ビジネス啓発本の真逆の論理。都合良く洗脳して働かせた後は、いかにモチベーションを奪い、知恵が付いて給料が高くなる前に新しい世間知らずの若者に変えていくかみたいな話。合理性はわかるけど、ほんとに現実にある話なのか……すげえな。9時始業なのに「自主的に」7時からの朝礼のために6時45分に出社するとか、僕なら5秒で辞めるなあ。


今勤めている会社に不満があって、これ読んで「だから社長は、経営側は悪い奴らなんだ!」みたいに考えるのは、まあ多分外れているのでオススメできないけれど、万が一ブラック企業に入ってしまったときにそれが本当のところどうなのか、判断する知識を持っておくのは大事なんじゃないかなあと思います。もう、ドラマみたいだけどね。本当なんだろうなあ。



ちなみに

勉強のためにもう1冊買ったんだけど、こっちはしんどい。



著者の今野春貴さんは、大学在学中から若者の労働環境改善のためのNPOを起こすなど活動してきた人で、手元に色んなサンプルをもってはる人なんだけど、上で紹介した秋山謙一郎さんの本とは違って、主体は「若者」、そしてブラック企業の経営者を攻撃する性質が強く、知識として見るよりは、社会問題として訴えるような側面があって、読んでいてちょっとツラい。悲惨な状況が自分と繋がりかねないところがしんどい。状況はわかるのだけれども……
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