適切な働き方とは – 月労働時間が300時間に達する友人が心配な話

ストレスを抱える男性と時間-青背景

飲食店で働く友人が体調を崩してしまいまして。営業中に発作のようなものを起こして意識ははっきりしているものの手足に力が入らなくなり、動けなくなってそのまま救急病院へ。最近体調が悪くて病院で「狭心症の疑いあり」といわれていた(周りには黙ってた)のと、このところ風邪気味だったのとが直接的な原因らしいのですけど、でも……本質的には働き過ぎだと思うんですよね。

彼がどんな待遇で働いていたかというと、まずいわゆる「週休二日制」。完全じゃない方のやつなので、月の休みは週1の定休日とあともう1日、つまり月5日ないしは多くて6日です。月の勤務日数は25日くらいかな。そして1日の労働時間はおおよそで11時間から13時間くらい。休憩は無し。週の労働時間は60~72時間、月の労働時間はおおよそ300時間。これはサラリーマンに換算(ガイドラインに基づき1日8時間勤務で1か月の労働日を20日とする)すると「時間外労働月140時間」に相当し、いわゆる「過労死ライン」を軽く超えるものです。


過労死ライン – Wikipedia

発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働(1日8時間勤務で1か月の労働日を20日とすると。1日4時間の時間外労働をして、1日12時間勤務が続く状態。又は労働日の20日各2時間の時間外労働と、1日10時間勤務で4日の法定外休日出勤という1日10時間勤務が続く状態)が認められる場合。

あるいは発症前1か月間におおむね100時間(1日8時間勤務で1か月の労働日を20日とすると。1日5時間の時間外労働をして、1日13時間勤務が続く状態。又は労働日の20日各2時間50分の時間外労働と、1日10時間50分勤務で4日の法定外休日出勤という1日10時間50分勤務が続く状態)を超える時間外労働が認められる場合をいう。




で、過労死のサインとしてもっとも顕著に出てくるのが心疾患、特に虚血性心疾患といわれる症状(いわゆる狭心症及び心筋梗塞)です。個人差があるものなので人によっては「何十年も続けているけど全然大丈夫」って言う人もいるでしょうが、一般的には虚血性心疾患か、脳血管疾患(脳卒中など)のリスクが高くなります。先の友人も医者に狭心症かもと言われていて、仕事のストレスと、働き過ぎが原因だろうなあと予想が付きます。その飲食店に待遇を改善する余裕や、そうする気があんまり無いように見えるので、例え一時的に体調が戻ったとしてもそのうち壊れてしまうのでは無いかととても心配です。


過労死の3つの症状の前兆と今からできる3つの方法|厳選 労働問題弁護士ナビ

過労死の症状ごとの前兆

心疾患

  • 急に心臓がバクバクと胸騒ぎするような感じ、しばらくすると治まる
  • 胸が圧迫されるような感じ
  • 左腕がだるくなる
  • 緊張や不安があると、胸がやけるような身の置き所がないような感じ
  • 胃の周辺から違和感が生じて、どんどん上に上がっていくような感じ
  • 下顎から喉に掛けて締め付けられるような感じ、奥歯がうずく



もちろん僕もあんまり人のことは言えません。僕の月労働時間は大体250時間くらい。友人には及ばないけれど、僕も大体サラリーマン換算で「時間外労働月90時間」前後の働き方をしてます。過労死ラインは余裕で越えてますねえ。将来のためにやっていることだし、メンタル的な意味で苦にならない仕事もあるけれど、全部が全部そうというわけでは無いし睡眠時間クソ短いし、仮にメンタル的に大丈夫でも長時間の労働は確実に体にダメージを与えているわけで、本当はもっと働き方を考えないといけません。

実際は、収入の面でそれだけ長時間働かざるを得ない訳ですけど、今は働けるだけ働くというのを少し改めて、月の収入目標を立ててそれに沿ってシフトを入れる(目標を大きく上回るレベルではシフトを入れない)ように変えてきています。仕事以外にもやりたいことはあるし、その中には将来に繋がることもたくさんあるけれど、そういうことが全部出来なくなってしまうので。先の友人は僕の2歳上だし、僕自身も41歳になってもう若くないし、物理的に無理が利かなくなり始めてるので。


で、こういう話をすると、飲食店を自分でやっている人などから「俺はもっと働いている」「店やったらそんなもんじゃ済まない」みたいなリアクションが来ることがあるんですけど、まあそうね。自分の店を持ったらそうかも知れない。自分の人生と分かちがたくなってもはや仕事は呼べないような、ライフワークのような形になる場合もあるだろうし、働かないと店が潰れてしまうことだってあるし。1人でやってるのに売り上げカバーするためにランチも店開けるとかね。僕だったらやりたいことがありすぎてずっと働いてしまうかも。自宅でするプログラミングとか、何時間やっても大丈夫だし。

それはもう痛いほどよくわかるのですけど、でもだからといってお前もやれ的な話ではないとも思います。ましてや、従業員に押しつけるのも違うよね。オーナーと従業員では働くことに対するインセンティブ自体が全く違うので。なんつうかな、そういう「労働時間マウンティング」ってほんとうざいですよね。飲食店含め多くの零細企業が売り上げを作るにはそれしかないと知りつつ、それでもなお、商売のやり方が拙いから長時間働かざるを得ないのを、たくさん働いて売り上げを作ってるんだと主張するのは順序が逆だろうよと、思うわけです。長く働くやつが偉いのでは無くて、偉いのなら何とかしろっていう話です。


とはいえ現実的に考えて、適切な働き方を選択するのって実はすごく難しいですけど、でも明らかに問題があるのであれば改善を訴えるか、もしくは仕事を変えることを考えないとダメかなあと。本当に体調崩してからでは遅いですからね。

最近特にそういうことをよく考えています。彼、大丈夫かなあ。