有印私文書偽造

raindrop


高校時代の思い出話でも。
とっくに時効を迎えているけれど、ちょっと悔やんでいる話。





高校2年生の冬(前後期に分かれているうちの後期)、先輩からの強い推薦があって生徒会長(母校での役職名は「自治会長」)をやることになりました。立候補は僕だけだったし、選挙も特に問題なくほぼ無投票みたいな感じで終わりましたが、問題はそのあと。それまで「生徒会」的なものからは基本的に距離を取ってきたので、各役職に就いてくれそうな人材について心当たりがなく、特に「副会長」職について、友達に打診しても断られたりして選考が難航していました。まあ、あんまり友達も多くなかったからなあ。

生徒会の役員については、中学時代の友達や前の代でも生徒会をやっていて同じクラスにもなったことがある友達が引き受けてくれて何とかなったのですけど(あのときはみんなありがとう)、副会長職については中学時代の友達(仮にA君)が「俺にやらせてくれ」と言ってきたのを了承する形で決まりました。やる気があってじゃなく大学の推薦に有利になるからという理由であり、また個人的にあんまり信用していない友達だったので、出来れば他の人誰かという感じだったのですが、まあ背に腹は替えられず。最終的に彼にお願いすることになった次第。

で、実際の生徒会の運営は……まー、上手く行ったとは言いがたい状況でしたけど、後期はイベントも少なくそれほど指導力を必要とされる時期ではありませんでしたので、周りの友達に助けてもらいながら何とか半年間の任期を全うできました。やあ、生徒会室でミーティングしてるのは結構楽しかったですね。非日常な感じで。ちなみに副会長のA君は殆ど仕事はしませんでした。やってることと言えば、当時付き合っていた後輩の女の子と放課後生徒会室でなにやらしているくらいで。今の僕だったら彼を強く叱責してるでしょうけど、当時の僕にはそれも出来なくて、結局A君は生徒会には存在しない感じになってました。


で、表題の件。


生徒会の会計担当は、前期にも同職を経験していて、同級生だったKさんが引き受けてくれていたのですけど、ある日、「A君の出した領収書がおかしい」と言い出したんですね。生徒会には生徒から徴収した会費を原資とした予算があり、生徒会活動に関わる備品、消しゴムとかボールペンとかについてはその予算で購入することが出来ます。基本的には会長の了承を得た上で各自が購入し、後日領収書やレシートと引き替えで精算ということになります。まあ、会社の備品購入なんかと同じです。

Kさん曰く、「A君の提出した領収書の桁がおかしい」。

見てみると確かに125円の領収書の最後、金額と「―」の間に丸が1つ書き加えられていました。今考えてみても幼稚だなあと思うのですけど(お前、文房具屋で1,250円も何買ったんだよ)、ま、要するに領収書の改ざんです。よくよく調べてみると同じような領収書は何枚も見つかり、既に精算されているものもありました。どういうことやねんお前。

本来であれば呼び出した上で事情聴取し、場合によっては教師に報告し、詐取した金銭を返金させるのが筋だろうと思うのですが、気が弱い僕(当時)は、以後領収書を受け取らないことにして、それまでの罪については不問にしてしまったのでした。正確なことは解らないけれど、金額にして5,000円くらいかなあ。あの処分はよくなかった。今でも後悔しています。A君のような世間を舐めた態度で見ている人間をのさばらせてはいけなかったなあ……


高校卒業後、A君は推薦で大学に進学しましたが、その後どこでどうしているかはさっぱり知りません。
20年も経てば人も変わっているかも知れませんけれど、どうなんでしょうね。あいかわらずなのかな。



ちなみに

  • 領収書を改ざんする行為は「有印私文書偽造」にあたり、3月以上5年以下の懲役。
  • 改ざんした領収書を使用する行為は「偽変造私文書行使」にあたり、3月以上5年以下の懲役。
  • 会計担当の錯誤と金銭の詐取を目的としていれば詐欺罪が成立し、10年以下の懲役。
  • 「有印私文書偽造」ならびに「偽変造私文書行使」の公訴時効は5年、詐欺罪の公訴時効は7年。詐取された財産の請求権は10年で時効消滅。


A君は未成年でしたし、仮に送検されたとしても不起訴になるんでしょうけど、まあ罪は罪。生徒から預かった予算を不当に詐取したという状況を鑑みても、厳しく咎めておくべきでした。まあいまさら後悔しても仕方ないんですけどね。


領収書の改ざんには、何らかの法的罰則が規程されているのでしょうか。。。 – Yahoo!知恵袋
刑法第159条 – Wikibooks
刑法第161条 – Wikibooks