「パソコン遠隔操作事件」について思うこと

この事件については、逮捕前、逮捕後から現在に至るまで様々な議論があることは知っていて、僕自身それらに参加するつもりはなく言う言葉も持ち合わせていないのだけれど、先日の「罪の告白」と「保釈取消」を経て感じたことがあったのでそれだけ簡単に書いておく。




この事件は、ネットの脆弱性を突いて他人のPCをマルウェアに感染させ、そのPCを用いて外部から脅迫を行うという形で実行された威力業務妨害事件だけれど、冷静にこの事件を見てみてそこまで大騒ぎする問題なのか?というとまあこのご時世よくある目立ちたがり屋のバカがやることだよね以上の感想がない。にもかかわらずここまで大ごとになってしまったのは、犯人が警察・検察を煽ったということもあるけれど、それに乗ってさも重犯罪であるかのように取り扱ったからではないのかなと思う。そうしたのは警察や検察のプライドというか怒りだったけれど、メディアやネット民も大概それに乗って物語を楽しんでいた風に見える。被告(被疑者)に「ゆうちゃん」という愛称を付けて支援していた様からもそれは伺える。


でもなー。僕としてはそういうのに一番乗せられ煽られていたのは被告本人で、そういう展開は望んでいなかったんじゃないのかなと思う。NHKの記事をブックマークするときに書いたのだけれど、


なんてかなー。ちゃんと証拠揃えて、ぬかりなく取り調べて、「こらっ」って言ってあげたらそこでストーリーにけりが付いて静かに終わった話なんじゃないかなと思うんですよね。でも当時の警察には出来なかったし、検察にも出来そうになかった。おまけにそれにいたる「冤罪」を経て捜査方法自体にも多くの問題点があり、なんかもうあかんのは警察・検察じゃないのという雰囲気になってしまった。メディアもネットもそれを煽ったし、それらを根拠に無罪を勝ち取れそうな情勢にもなってしまった。


もしそのときにきちんとそして粛々と裁いてあげられていれば、死を決意して高尾山を徘徊することもなかったし、電車に飛び込もうとすることもなかったはずで、そういう苦しみを煽ったのは警察や検察の能力不足であり、後に続いた模倣犯であり、メディアやネットを通して増幅する我々の声だったんじゃないのかなとも思う。被告が起こした事件は複数の冤罪を引き起こしもしたし許されるものでは無いけれど、でも、大騒ぎをするのはやっぱりちょっとなんか芝居がかっていて、エンターテイメント過ぎてなんか違和感を感じる。



参考

この記事を書くにあたり、以下の記事にきっかけを頂きました。

パソコン遠隔操作事件、雑感: 極東ブログ

「同じことを思っていた」というわけじゃなく(僕はそこまで深く考察できないし)、「思っていたけど書かないことにしょう」と思っていたことをやっぱり書くことに決めた、くらい。

finalventさんの記事は、いくつかの要素が一緒くたに書かれているので慣れない人は読み解きにくいかもしれないけれど、バラバラの要素にばらして考えてみると、案外すんなり納得できる内容じゃないかなと思います。この事件について視点がない、ないしはフラットな立場にあるのであれば、ぜひ一読を。