父親の背中を見て育つとはよく言ったもので、自分の生活に何の疑いもなく馴染んでいた習慣が、実は父親特有のものだった…と言うことがたまにあります。他人に指摘されたり、自分でふと気付いたりして、「ああ、そうだったのかー」的な。僕の場合、それは例えばひげを剃るタイミング。


僕も父親もそれほどひげが濃い方ではないので、2日に1回くらい剃れば十分だったりします。2人とも距離の近い接客というわけでもないですし、多少ひげが見えてもそれほど大きな問題にはなりません。それでも父親はきちんとしている人なので毎日きちんと剃っていたと思うのですが(そしてもちろん僕はきちんとしていない人なので2日に1回です)、なぜでしょう、夜風呂に入っているときに風呂場で剃るというのが父親の髭剃りタイミングだったのですね。風呂桶にお湯をためてT字カミソリを洗いながら剃っている光景を、子供心にもよく残っています。


多分彼は彼なりに合理的な判断だったと思うのですよ、お湯でざーっと流せるし便利だというような。でもさ、ひげって夜の間も結構伸びるじゃないですか。昔「ブラウンの髭剃りのCMはなぜ出勤時の風景なのか」の答えが「朝の8時頃が一番ひげが伸びるから」とのことでしたが(本当かどうかは解りませんが)、ともあれ夜剃って朝を迎えたら多少伸びてるわけです。あれ、どうしてたんだろう。無精ひげで人に会わないことを合理的に考えれば、朝出掛ける前に剃った方が良いに決まっているのですが…


ついこの間ふと思い出したところで、まだ本人に確認を取っていませんが(今はもうやってないのかも)、その記憶がとても強烈にあったせいで僕も長いこと「ひげを剃るのは夜風呂場で」というのが定番でした。今は出掛ける前に剃るようになっていますけど、そのことにふと気付いて「なんで夜剃ってるんだろう…伸びるじゃん!」と思ったときはちょっと楽しかったです。あの頃の父親って今の僕から見てほんのちょっと大人だっただけなんだよなあ。だったら何をやっててもおかしくないよなー