「東方Project」というと基本的にはシューティングゲームである原作のことを指し、漫画や小説に関しては二次創作で数多く作られていますが、オフィシャルの書籍もあります。設定集的なファンブックの他、原作者ZUN氏が原作(または原案)を練った漫画版、小説版。本作はその中の1冊で、永夜抄後の月世界のと関わりを描いたエピソードです。

霊夢と魔理沙はもちろん、八雲家の紫&藍、紅魔館組、白玉楼の幽々子&妖夢、永遠亭の面々など、人気のキャラクターがそれぞれに個性を持って生き生きと登場していてとても楽しめます。特に……パチュリーの愛嬌のある醒めた感じと、紫の腹黒い感じがとてもいいかんじ。頭が切れるのを表に出さない幽々子と、頑張ってるけどついて行けない妖夢のコンビもとっても和みます。

物語としてはシリアスな側面も含みつつ、神話や宗教の教養を織り交ぜながら割と真面目に進行するのですが、やはり幻想郷の面々なのでどこか「深刻にはならないだろう」という予感があってどこかコミカルにも見えてしまいます。誰も死なないし、傷つかないし。

正直に言うと、紫と幽々子の「企み」がなんなのか最後の最後まで「???」という状態だった(もうほとんど妖夢と同じ状態。もしかすると妖夢は読者の心情を投影する役割だったのかも)のですが、全て解ってすっきり!なるほど。紫も過去に学んでいるんだということと、力ではなく知恵の勝負を月世界…というか永琳に挑んだという点でとても見応えがありました。面白い。

個人的には長い間「名前だけは知ってるけどそれ誰だっけ」だった綿月姉妹がキャラクターを伴って理解できて、とてもスッキリしました。豊姫可愛いなぁ。



「設定資料集」としてのオフィシャル書籍

「東方Project」は原作が比較的多作にもかかわらず、シューティングというゲームのためか設定についてはあまり多くを語られていないし、語られていても厳密ではない部分がある(例えば妖夢の性格付けとか)のですけど、こうした「オフィシャル」を読むとその辺りの設定を補完していく役割もあっていいかなぁと。「東方求聞史紀」みたいな設定集も良いけど、こういう物語性のあるものだと「関わり」というか「空気感」的な設定が見えて良いです。

例えばレミリアと咲夜の間の空気感とか、霊夢のいい加減だけど真面目な性格とか、輝夜のマイペースでおっとりした性格とか、永琳とうどんげの関係性とか。二次創作ばかり見ているとそういうことを極端に解釈しすぎてしまうので、二次創作は二次創作で楽しみつつ、こういう原作設定の方もカバーしておくとより楽しめる気がします。まぁあまり設定にこだわりすぎると、それはそれで色々楽しめないので注意が必要ですけどね。



東方求聞口授

設定集といえば、来年1月には新しい公式書籍「東方求聞口授」が出ますね。



聞くところによると、「東方求聞史紀」の続編のような感じ?風神録から神霊廟までの設定を網羅しているそう。なんと。といっても出版社のコピーを読んでも良くわかんないのですけどね…(苦笑)

対談集? 設定資料集? 新しい“東方Project”のカタチ
東方Projectの新作書籍が新たに登場。『東方文花帖』『東方求聞史紀』『グリモワールオブマリサ』に続き、今回も1冊丸ごとZUN氏による完全新規書き下ろし!
幻想郷の信仰と妖怪退治をめぐって、3つの勢力が主張を戦わせあう!
神道、仏教、道教……彼らの話し合いが行きつく先とは!?
人間の安全は大丈夫なのか? そもそも結論は出るのか? 最初にキレるのは誰か?
全六部に渡る対談で幻想郷の未来が決まる!
また、『東方風神録』から最新作『東方神霊廟』までのキャラクターを完全紹介。
『幻想郷縁起』『文々。新聞』『花果子念報』などの豊富な資料を交えて議論に花を添える。

楽しみにしておきます。




関連書籍

Silent Sinner in Blue.




ZUNさん原作、秋★枝さん漫画による「漫画版」。


Cage in Lunatic Runagate.



ZUNさんによる「小説版」。


月のイナバと地上の因幡



ZUNさん監修、あらた としひらさん漫画による「4コマ版」。
本編とはあんまり関係なく、同じくらいの時系列における永遠亭でのドタバタコメディ。