ASCII.jpでの小林オニキスさんのインタビューが、いろいろな意味で面白いです。

今さら感は非常に強いが、今回のインタビューには、小林オニキスさんをお迎えした。小林さんは2007年末にニコニコ動画に登場した、ボーカロイド(ボカロ)第一世代の有力Pの一人。ボカロ好きには言わずと知れた、あの名曲「サイハテ」の作者だ。

 サイハテの公開は2008年1月。当時としては珍しかったアニメーションをPVに取り入れた。ポップなメロディ・四つ打ちのビートの曲調とは裏腹に「死別」という重いテーマを持った、非キャラクターソングの走りでもあった。結果として幅広いリスナーを得て、公開から2ヵ月と経たないうちに再生回数は100万回を超えた。
 


この「サイハテ」という曲は僕もとても好きな曲です。

しかもちょうど、kzさんのリミックスが出た時期と、大事な友人を病気でなくした時期が重なっていて、極めて個人的な理由で、今でも心に残り続けている曲です。




インタビューの中で語られていることをざっくりまとめると次の3点になるかと思います。

  • 小林オニキスさんのプロフィール、動画を上げるようになったきっかけ
  • 音楽ビジネスと音楽の権利に関する考え方
  • VOCALOIDを中心にしたシーンについて


インタビューを読んだ限りでは、小林オニキスさんという方は非常に頭が良く色んなことが見えているなという印象を受けました。例えば、著作権に関する考え方の中での次のような発言。

―― JASRACに登録しないで出すというジャッジは?

小林 僕です。ニコ動だけでやる分には JASRACで問題ないんですけど、ニコ動の外で二次創作が多かったので。そもそも僕一人の力でああなったわけではないですから。

―― 二次創作を前提としてJASRACに登録しないという方法は、Livetuneから始まったわけですが、最近「JASRAC使うとお金になるよ」というムードもあります。

小林 良いところと悪いところがあるんですよ。良く言われるカラオケの件についても、あれでお金が入らないのは気の毒だと思いますし。

―― 非JASRAC曲をかけるのは面倒という局側の話もあるみたいですが、実際はかかってませんか?

小林 かかってますよね。局の方は普通にJASRACで管理されているものと思ってるので。僕の場合は、NHKの「サラリーマンNEO」でlivetuneさんバージョンの「サイハテ」が使われていたらしいです。使用楽曲のところに僕の名前があったので。

―― 報告はして欲しいと思いますか?

小林 いや、それは端から無理なものと考えて登録しなかったわけで。個人で金銭のやりとりを管理したり、自分で権利の運用をするのは無理があると思います。それに僕は全部自分で作っているのでいいんですが、共作の場合はモメるでしょうね。


こういうのは、音楽のビジネスの仕組みを考えた人じゃないとわからないと思うんですよね。僕は口を開けば「JASRACは潰れろ」「JASRACは搾取」としか言わない人は、問答無用でJASRACに丸投げしようとする音楽会社くらい間抜けだと思っているんですけど、小林オニキスさんは、

  • JASRACに登録しないという選択が出来ること
  • 登録しない結果どんなことが起こるか知っていること
  • メリットもデメリットも含めて理解し受け入れていること

と言う点で違っています。要は現状の様々なこと(作り手の意志や利益、音楽ビジネス、聞く/買う人間のメリット)を解決するように上手く動くシステムが存在しないと言うことであって、何かを選択すれば何かを諦めなくてはならず、大事なのは大事にすることを決めることなんだということなのですけどね。



VocaloidとPVの件

...と、いや、このエントリはこれについて語るつもりはなかったんでした。


自分も似たようなこと書いたエントリ上げてきたし、多分他の誰かが書くと思うのでこの話題はこれまでにして、最近ずっと気になってるけど昔に比べて距離できちゃったからずっと言えずにいたことを書くと、

人気が出るボカロ曲って綺麗なPVがないとダメなのかな?という話。

小林オニキスさんが言っている「一枚絵の動画で上げるんだったら、今すぐできる状態なんですが」が象徴的だなーと思ったのですけど、人気が出た曲に綺麗なPVが付くというのでは無しに、最初から完成度の高いPVが一緒についてリリースされることが多い印象があって、その印象を元に、「もちろん視聴する方としては嬉しいんですが、なんだか凄く敷居が上がりすぎているような...もっと自由で良いんじゃないか」そんなことをいつか書きたいと思ってたのでした。


...でも今書きながら、視聴が超遅れちゃった今週のボカランを見てますが、



案外そんなこと、全然無かったですね。思いこみでした。
もしくは一時そういうのが流行した時期があったのかな。


「PV付き」を、アニメーションと歌詞(またはタイポグラフィ)もしくはCGを駆使した美麗など動画と定義したとすると、TOP30に入ってる曲でPVが付いてないのはこんな感じでした。


静画




静画+歌詞





















ヒット曲も十分入ってて、「最近PV付きばっかりだよね」とは微塵も言えない状況ですね。誤解でした。
書かなくて良かった。


小林オニキスさんくらい有名だと、「綺麗な「動画」を上げなくてはいけない」というプレッシャーもあるのかも知れないけれども、やっぱりボカロ界に今から飛び込む人は「静画でも聴く人は聴いてくれる」と思ってくれたらいいなぁと思いましたです。そういうカオスの中から出てきた秀でたものを愛でる空気が今でもあって、より光が当たる世界であると同時に実験的な発表の場でもあるというのがわかって、ちょっと安心しました。