二つの春。

春には、二つの春があると思う。


もともとが、移り変わりの季節なのだから、
春の初めと終わりで様相が大きく違うのは当然なのだけど、
僕が思う春は、
花の春と、緑の春だ。

今、京都でもようやく桜が満開になり、
(今年はバラバラで、まだつぼみのところもあれば既に散ったところもあるけれど)
日中の暖かさや、陽の光の強さで春を感じるけれども、
烏丸丸太町の交差点から眺める京都御苑は、
枝が目立ち、まだまだ冬と言った感じだ。


花、写真撮影の対象としては、これだけで多くの写真家を作れるほど、
申し分のないものなのだけど、
僕はどちらかと言えば、木や葉の方が好きだ。
桜並木にしても、
観光客が去った後、夏を迎える前に、
緑一色に染まる高野川の方が僕は好きだ。


そういえば、中学生の頃美術の授業で、
先生に与えられたテーマでモノを書く、という授業があった。
確か、自分とか、将来とか、そんなものを書く授業だったと思うけれども、
僕は迷わずに、側にあった木を描いた。
春先でまだ葉は茂っていなくて(多分紅葉だったと思う)、
複雑に枝分かれした裸の木を、丁寧に一本描いた。

僕は、僕なりにそこにテーマを含めたつもりだったけれども、
中学校の授業でそんな絵は要らないわけで(苦笑)
先生にはあまり評価して貰えなかった覚えがある。
ま、美術の授業なんて、殆ど自習みたいなもんだったよな。


話が逸れたけれども、
花の春と、緑の春とでは、同じ春だけれども全く違う。
花の春は、穏やかな気持ちと、眠気を連れてくるけれども、
緑の春は、引き締まる思いと、わくわくを連れてくる。

そして、季節はすぐに、夏、初夏へと移り変わる。


今年も、僕が好きな季節がやってきた。