星野仙一は僕も好きな人の1人である。
厳しい中にも愛があり、筋をきちんと通す。
本当に、尊敬できる人だと思う。

…が、星野さん、この怒りはどうだろう。見当違いじゃないだろうか。

星野SD激怒「タイガースは公共のもの」
阪神星野仙一オーナー付シニアディレクター(58)が3日、球団の親会社である阪神電鉄の株式を村上ファンドが議決権ベースでも3分の1超を確保した問題で、怒りをあらわにした。都内スタジオでテレビの特別番組を収録後、報道陣に対して沈黙を破った。険しい表情で「大変残念で憤っている。タイガースは私的ではなく公共のもの。ファンも許さないだろう」とまくし立てていた。(日刊スポーツ)

阪神タイガースは確かに、私的な物ではないかもしれないが、
それは同時に、親会社が阪神電鉄から変わっても、
タイガースはタイガース、ということも表している。
だから、タイガースの公共性を指摘することと、
阪神電鉄買収か?への怒りとは実は、合理性がない。

実際のところ、村上世彰氏は、
『徹底して株主価値を向上させてほしい。私たちも経営陣と緊密に協力する』
とコメントしているのみで、それ以外の何も述べていない。
阪神グループには球団以外にもさまざまな財産がある。
むしろ、守らなければいけない公共の球団を所有しているのであれば、
このような危機感は常に念頭に置いてしかるべきだし、
きちんと対策をとっておくべきだったのではないか?


先日の、日本放送・フジテレビの一件のあと、
自社の株を購入し、償却する(自社株償却)を行う企業は増えており、
発行株に対する危機感は持って当然のことだ。
であるからして、今回の投資に関しても、
悪いのは村上ファンドではなく、準備の不足していた阪神電鉄なのだ。

デイリースポーツによると、
村上氏は『タイガースに愛着がある』そうだ。
大阪出身だし、無理もない。
もし、阪神電鉄を村上氏(またはそのバックにいる他の人間)が買収し、
阪神タイガースのオーナーになったとしよう。
何か変わるだろうか。
『私的な物ではないのだから、買収は許せない』
と言うわけだが、現在のオーナーのポジションに収まることが
なぜいけないのか理解できない。
現在のオーナーの私的な物でもないわけで、それなら、
バルセロナみたいに、会員による選挙で会長を選べばいいじゃないか。
誰が何と言おうと、オーナーは所有者なのだ。


新聞各紙は、村上ファンドの出現に対し、
“球界の敵”という表現で表している。
これは果たして真実だろうか?

確かに、村上氏の真意が見えない今、彼が儲けるだけ儲けて
ぞんざいに扱う可能性がないとは言えない。
もしそうなれば彼は確かに“球界の敵”に違いない。
しかし、MLBやその他多くのスポーツと違うところはそこなのだ。
愛着のある資産家が、もう飽きてしまったオーナーから球団を買収し運営していく、
もちろん転売目的であっても、強くしないと価値は上がらない、
そうした、心情的、資産的刺激があってこそ、
チームは強くなるのだ。
もし買収されたくないのなら…
先ほども触れたが、完全にクラブチームとして、
ファンの資産をベースに球団が成り立つように株を分散し、
すべてを個人が取り仕切ることは出来ないようにするしかない。
むしろ、そうなって初めて、『公共な物』と呼べる。
現段階で、公共な物と呼ぶのは、
もちろんファン心理から見れば当然正しいことではあるけれども、
実際的に見てみれば、おこがましいにもほどがある。

阪神が、オーナーの所有物であると言うことを、
阪神ファンはもう忘れてしまっているのか?
それだけ苦い思いをさせられたか、覚えていないわけでもあるまいに。


プロ野球界は、
極端に高い参加料を設定することで、自らの利益を守ってきた。
儲かってない?嘘ばっかりだ。
儲かっていないのに、経営努力をせず、赤字だけを出し続ける、
そのことが株主への冒涜だと判断されても、文句は言えまい。


デイリーは星野SDの心情をこう書く。

自身の知識も披露して改修計画の参考にとアドバイスした。ファンサービスについてはグッズの販売からイベントまでアイデアを出した。すべてファンのためにやってきた。それが今回の株取得ですべて暗礁に乗り上げるかも知れない。許せなかった。

本当かどうかはよく分からないが、
もしこの通りだとして、その通りに進んでしまったとしたら、
非常にかわいそうなことだな、と思う。

でもね、社会にはそんなこと、よくあることでしょ。
監督が替わるたびに、選手の評価が変わるのも、よくあることでしょ。
私的な怒りを、星野のカリスマで正当化してはいけない。
カリスマ性に、もっと自覚を持ってもらわなければ…